HOME / スペシャルコンテンツ / 前田拳太郎の”スキサガシ” 「好き」は世界を広げた先に見えるもの – あの人の履歴書

「やりたい仕事が見つからない」「好きなことを仕事にしたいけど、好きなことがわからない」。本記事は、そんな悩める就活生に向けて、自分の「好き」を見つける”スキサガシ”を応援するインタビュー企画!今回登場するのは、俳優の前田拳太郎さんです。『仮面ライダーリバイス』で主役に抜擢されて以降、俳優として芸の幅を広げる一方で、声優などにも挑戦している前田さん。かつては空手で日本一になり、社交ダンスでプロになることを真剣に考えたこともあるそうですが、子ども時代にはやりたいことがなく、一念発起して目指すことにした俳優になる夢も、一度は諦めたことがあるのだとか。そんな前田さんが、再び俳優の道を目指したのはなぜだったのでしょうか。また、夢を掴み取るために意識していたこととは? 前田拳太郎流「好き」の探し方&夢の叶え方に迫ります。

前田拳太郎の履歴書

少年時代は「将来の夢」なんてなかった。なぜなら……

——前田さんの子どもの頃の夢は「仮面ライダー」だったそうですね。

——でも、中学時代には空手の「型」団体戦で全国優勝していますよね。

——それがなぜ、実際に俳優を目指すことになったんでしょうか?

前田:僕は高校まで空手しかやっていなかったので、新しい世界を知りたいという欲求がありました。そこで、高校卒業直前に「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」に応募しました。実際のところ、俳優への憧れはずっとあったのだと思います。

一日中、テレビドラマを流しているような家だったし、周囲からはずっと勧められていたし、街でスカウトされた経験もありました。条件は揃っていて、あとは僕の決心次第だったのでしょうね。とはいえ、高校までは日本一を目指して空手の稽古に真剣に打ち込んでいたので、芸能活動をする時間はなかったんですが。

一度諦めた俳優の道に、再び挑戦

——「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で前田さんはBEST30に残りますが、最終的には落選してしまいます。その時、一度は俳優になる夢を諦めたそうですね。

前田:はい。ここで落ちているようでは無理だと思いました。この先もっとすごい人たちとやっていかなければならないのに、こんな序盤で躓くのなら、自分にその素質はないんだと。

——諦めて、代わりに何をしようと思っていましたか?

前田:「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」と並行して、大学では社交ダンス部で頑張っていたんです。僕の大学は部員が100人以上いる名門で、この時も、空手時代と同じように日本一になるための練習をしていました。実際、1年生の時には出た大会すべてで優勝しました。このまま将来は社交ダンスでプロを目指すか、もしくは、元々メイクが好きだったので、コスメ系の仕事に就こうかと考えていました。

ただ、2年生の時にコロナ禍がやってきて、状況が一変するんです。社交ダンスは密な競技なので、なかなか部活を再開できず……。半年空いた時点で、このままではプロを目指すのは無理かもしれないなと思い始めて。そうして3年生になり、そろそろ就活を始めなければという時期に、ふと、俳優という仕事がまた脳裏をよぎったんです。

——やはり諦めきれないと。

前田:そうなんです。それで、過去にスカウトしてくださった芸能事務所に電話したり、お話を聞きに行ったりしました。

あとは、Instagramを始めて、自分の写真を投稿したりしていました。すでに21歳だったので、事務所の方に早く見つけてもらいたくて。というのも、やっぱり僕は仮面ライダーをやりたかったんです。そうすると、年齢的にはもうギリギリと言っても過言ではありません。次のオーディションで受かるためにどうするか、逆算して計画し、取り組みました。

そうして、今所属しているLDH JAPANにお声がけいただき、入所。しかしそこからオーディションまではたったの約4カ月しかありませんでした。そこでスタッフさんに頼んで、演技ワークショップとアクション練習をみっちり受けさせてもらいました。

――なるほど。お話を聞いていて、前田さんは、夢や目標を実現するために何が必要なのかを洗い出し、それをやるためにはどれくらい時間が必要で、今の自分に実現可能なのかどうかを客観的に判断し、取捨選択しながら努力することが得意な人だという印象を受けました。

前田:確かにそういうのは得意かもしれません。こうした考え方は中学時代に空手で学んだものだと思います。当時の恩師から、目標から逆算して行動し、PDCAサイクル(plan-do-check-action)を回すやり方を学びました。今でもこのやり方で計画を立てているんです。

また、自分の何が良かったのかプロデューサーに聞いたら、「姿勢がよかった」と言われたのが印象的でした。空手も、大学時代に打ち込んでいた社交ダンスも、どちらも姿勢が大事なんです。あとは、どの現場に行っても「礼儀正しいね」と言っていただけるんですが、それも空手のおかげだと思っています。

就活というオーディションを通過するために必要なこと

——就職活動も、言ってみればオーディションのようなものだと思います。就活というオーディションを通過するためには何が必要だと思いますか?

前田:僕がオーディションを受ける際は、まず見た目から入ることを意識しています。不幸そうな役であれば、暗めの服装にぼさぼさの髪型……といった感じで。就活であれば、やはりメイクや髪型などで、その会社にマッチしそうな雰囲気を作っていくのが良いでしょうね。

あとは、当日のルーティンを作ることも、緊張せずに普段の自分でいるためには有効かもしれません。僕はオーディションの日は必ず、少し早めに現地に着いて、近くのカフェに入るようにしているんです。そこで役の雰囲気に合いそうな映画や動画を見る。そうして気持ちを作ってから、オーディションに臨むんです。

——この記事を読んでいる読者の中には、好きなことを仕事にしていいんだろうか、あるいは、たとえ好きでも、向いていなければ仕事にはできないんじゃないだろうかと悩んでいる人も多いと思います。前田さんは、そもそも自分が役者に向いてると感じますか?

前田:いえ、向いていないと思います。僕は人前に出るのが実は苦手で、それは今でも変わりません。それに、役者って目標が立てにくくて。どうしたら役者の中で一番になれるかと考えても、まずその「一番」が見る人によって違ったりする。それまで取り組んできた空手や社交ダンスは、順位や成績が明確に出るものだったので、そこのギャップには最初戸惑いましたね。

でも、役者の仕事は好きです。表現することが好きなのはもちろん、この仕事をしていると、日々新しい発見があるんです。現場では毎回違う人たちと仕事をして、台本を読めば毎回違う役。そして役それぞれに、いろんな生い立ちや価値観がある。

やっぱり、学生時代は同じコミュニティの人たちと生活するわけですよね。近い地域で育った、近い年齢や偏差値の人たちの集まりです。でも役者になってからは、本当に多種多様な人たちと出会うようになりました。そうやって新しい世界、価値観を知ることが、生きていく上で大切だし、楽しいと思うようになりました。好きなことのほうが頑張れるし、楽しいし、スキルも伸ばしやすいですよね。

——前田さんもかつては「やりたいことがない」状態だったと伺いましたが、「好きなことがない」人は案外多いのではないかと思います。「好きなこと」を見つけるためには何が必要なんでしょうか?

前田:とにかくたくさんの世界を知ることだと思います。いろんな人と会って、いろんな話を聞いて、いろんなもの見ること。僕は空手漬けの生活でしたが、大好きなアニメだけはたくさん見て、多くの作品から影響を受けました。バンドものの作品にハマって、楽器を買ったこともあります。

そうすると自分の中に引き出しが増えるんです。そして、それらを自分なりに「好き・嫌い」や「得意・不得意」といった軸で比較することができるようになります。その先に、いちばん好きなものが見つかるんじゃないでしょうか。そういう意味で「知る」ことが必要なので、自分の世界を広げてみることが大事だと思います。

——では最後に、就活で悩んだり落ち込んだりしている人に、前田さんからエールをお願いします。

前田:就活をしていたら、周囲からの声に傷ついたり、企業に不採用を出されて苦しくなったりすることもあると思います。でも、好きなことがあれば頑張れると思うし、何よりもまず、自分を好きになることがいちばん大切。自分を好きになってあげることができれば、最初の一歩を踏み出すことができると思うんです。

——どうしたら自分を好きになれますか?

前田:僕は元々、そんなに自分が好きではありませんでした。でも、何かを頑張っている時の自分はすごくいいなと思うんです。空手をやっている時の自分はいいなとか、踊っている時の自分はかっこいいなとか。家でひとり、台本を読んでいる自分はいいなとか。

「自分はこうだからダメだ」と思ってしまうと、そこにばかり意識が向いて辛くなってしまいます。だけど、誰だってダメなところは絶対にあるんですよね。自分の全部を好きにならなくてもいいんです。ひとつでいいから好きなところを見つけて、たくさん自分を褒めてあげることが大事だと思います。

デビューしてすぐに主役を演じ、順調なキャリアを歩んでいるように見える前田さんですが、その裏には、明確な目標設定と、目標から逆算した具体的・客観的、かつ継続的な努力がありました。そしてそれらの前提になっているのは、何よりもまず「自分を好きになること」。

就活中、自分を否定されたように感じて落ち込むことは珍しくありませんが、どんな状況でも自分を全否定するのではなく、ひとつでもいいから自分の好きなところを見つけ、自分を褒めることが大事だと前田さんは語ります。苦しい時や迷った時、あるいは、好きなことがわからなくなった時、まずは自分を見つめて、自分の好きなところを探してみましょう。自分を褒めることが、あなたを次の一歩へと押し進めてくれるかもしれません。

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(企画:株式会社十三夜 / 編集:剛家朋子 / 取材・執筆:山田宗太朗 / 写真撮影:池ノ谷侑花)