
「やりたい仕事が見つからない」「好きなことを仕事にしたいけど、好きなことがわからない」。そんな悩める就活生に向けて、自分の「好き」を見つける”スキサガシ”を応援するインタビュー企画!今回登場するのは、俳優の古川雄輝さんです。今や国内外のさまざまな作品に出演し活躍している古川さんですが、学生時代は「やりたいことが見つからなかった」のだとか。そんな古川さんは、どのように自分の「好き」を見つけたのでしょうか?
古川雄輝の履歴書

やりたいことが見つからず、選択肢だけ広げていた大学時代

——古川さんは学生時代に受けたオーディションで審査員特別賞を受賞して芸能界に入ったそうですが、もともと俳優の仕事に興味があったのでしょうか。
古川:興味があるない以前に「自分とはまったく縁のない世界」という感覚でした。僕が大学生の頃はSNSもなかったし、今よりも芸能界との距離があったと思います。まさか、自分がそこに入るなんて考えたこともなかった。ただ、就職活動でテレビ局への就職も志望していたので、どこかで憧れはあったんだと思います。理系出身のため、テレビ局の撮影や収録に携わる技術系の職種も選択肢の一つでしたが、俳優の仕事は選択肢にもありませんでした。
——では、なぜオーディションを受けることに?
古川:やりたいことが見つからなかったんです。大学3年生になると一斉に就職活動が始まります。でも僕はいわゆるインターンや自己分析といった“就職活動の準備”を十分にやっていなかったので、内心「まずい」と焦っていました。理工学部の大学院入学試験に合格し、「就職のためのチャンスが増えた」「理系就職する道も生まれた」と、とにかくあらゆる職種に勤められるよう、将来の可能性を広げるために選択肢を増やしていました。
そんなとき、大学の同期から「ミスターコンテストに出ないか?」と誘われました。僕が代表を務めていたダンスサークルでは毎年、代表がミスターコンテストにエントリーする流れがあったので僕も出ることに。そこでグランプリをいただき、その後、各大学のミスターコンテスト優勝者や一般公募者を集めた新人俳優オーディションに出る機会につながりました。当時は「これも就職活動に役に立つかもしれない」という気持ちで出たんです。
俳優のオーディションと言っても、集まったのはほぼ素人ばかりなので、みんな1~2カ月かけて演技のレッスンをします。僕はその過程で、演技とダンスに似たものを感じる瞬間がありました。演技は自分で構成し人に見てもらうものですが、ダンスも自分で振り付けをして披露します。その共通点が面白く、演技を仕事にするイメージが具体的なものになったんです。

——学生当時は自分が何をやりたいのかわからなかったけれど、ミスターコンテストに参加したおかげでやりたいことが見えてきたんですね。
古川:ちょうど東日本大震災の前後でいわゆる就職氷河期だったので、周りは就職浪人する人が多く、自分も一年では決まらないだろうと覚悟していました。その後、オーディションの途中で大学院には断りの連絡を入れ、就職活動も途中でやめました。実はオーディションの最終決定戦が、テレビ局の採用面接と同じ日だったんです。悩んだ末、オーディションを受けることを選びました。でも、そのオーディションではグランプリを逃してしまったんです。
——でも「審査員特別賞」を受賞されましたよね?
古川:そうですが、グランプリとはまったく別物です。グランプリにはその時点でラジオ、雑誌、テレビのレギュラー番組に、ドラマや映画の出演も待っていて、スターへの道が一気に開かれます。僕は事務所に所属でき、ありがたいことではありますが、仕事がゼロの状態から俳優業をスタートしたんです。正直、悔しかったですね。このオーディションで勝てなかったのに芸能界で勝てるわけがない……と、就職活動を再開しようとも考えました。でも、「今やめたら一生後悔する」と思うと諦めたくなかった。俳優業に全てを注ぐ覚悟を決めました。
もちろん、現実は甘くはなかったです。周りは若い頃から経験を積んでいる俳優ばかり。オーディションに臨んで、恥ずかしい思いをしたこともあります。それでも諦めずにやっていたら、小劇場の舞台に出演が決まりました。その劇団で芝居のノウハウを学びつついろんなオーディションを受けていたら、今度は映画の出演が決まり、そのうち映像の仕事もいただくように。こうして言葉にすると順調そうですが、この時点ではまだ、初めの「悔しい」という気持ちがずっとあり続けていました。
固定されたイメージから抜け出そうと足掻いていた

——古川さんといえば2013年の『イタズラなKiss〜Love in TOKYO〜』でブレイクし、イケメン俳優として広く認知されたイメージがありますが、当時その実感はありましたか?
古川:自分自身がブレイクしたという感覚はなかったです。というか、「イケメン俳優」という感覚は、僕にはまったくありませんでした。当時はいわゆる「しょうゆ顔」が流行っていて、それがいつからか「しお顔」が流行るようになり、急にイケメン扱いを受けるようになった感覚です。
そんな中、『イタズラなKiss〜Love in TOKYO〜』に出させてもらうことになりましたが、この作品は、日本よりも中国で大きくブレイクしたんですね。だから日本の俳優として売れた感覚もそこまでなかった。それどころか、この注目は長くは続かないだろうと悩んでいました。今になってみれば、そんなに悩まなくてもよかったのかなと思いますが。
——なぜですか?
古川:いただく役柄が、自分の年齢とともにシフトしていくんです。昔は、「アウトローな役もできるようにならなければ」と焦っていました。でも、どう頑張っても僕のこの感じでアウトローの役は来ないんですよね。俳優ってある程度、その人のイメージでキャスティングされ、それが固定化されていくんです。
だからヤクザ役で古川雄輝をキャスティングしようとは誰も思わない。その代わり「頭が良さそうな役」ならオファーが来る。つまり、人と被らなければ役者として食っていけるわけだから、そんなに心配することじゃなかったと気づいたんです。30代になって、ようやく「これでいいんだ」と思えるようになりました。

——求められるイメージに対して、たくさん悩んだり足掻いたりしてこられたんですね。ちなみに、役者をやめようと思ったことは……?
古川:それはないですね。「諦めたら負け」だと思っているので、一度決めたことは貫きたい。仕事がない状況から俳優業を始めて、次はこの役、次はこの役と、どんどん良い役をもらえるようになるのは自分の成長を感じられてうれしかったですし。
——ということは、もっとも大変だった時期は役者になりたての頃だったんですね。
古川:いや、大変という意味では今でも変わらないです。「仕事のない大変さ」が「役を任される大変さ」に変わるだけで。それに、うまくいっていない感覚はずっとあります。人生がうまくいかないなんて、歳をとれば当たり前のことだとわかるけれど、20代の頃は「なんで思い通りにいかないんだろう」ともどかしい気持ちでいました。
本当は、うまくいっているんですよね。だって最初は小劇場で端役だったのに、そこから主役にステップアップできたわけですから。でも主役を任されたときにはもう自分の中でそれが当たり前になっていて、「まだ全然足りない、早く次の主役をもらわないと」と思っている。確かにハングリー精神がないと成長しないけれど、ほんのひと握りの人にしか到達できない壮大過ぎる最終目標だけを設定していたのがよくなかったと思います。
そうではなく、短期目標をたくさん作るべきだったんですよね。そうすればもう少し達成感も得られただろうし、自分を褒めることもできたかもしれない。今は毎年、年間目標をたくさん書き出して、達成したら○をつけ、達成できなければ翌年に持ち越すスタイルにしています。「旅行する」とか「怒らない」とか、小さな目標もあります。30代になってからは、こういう小さい目標を達成して、自分をちゃんと褒めてあげるようにしました。
楽しむために、ちょっとだけ気を抜いてみる

——今、お仕事をする際に意識していることがあれば教えてください。
古川:シンプルだけど「楽しむ」ことです。これまで「役をまっとうする」「みんなに迷惑をかけない」「これをきっかけにさらに良い役をもらえるように」みたいなことばかり考え、まったく楽しめずにやってきました。だから今は「楽しむ」ことを目標にしているんです。楽しむためには、ちょっと気を抜くことが大事だとも気づきました。自分の中で「ま、いっか」と納得することを今は意識しています。
——古川さんは、役者という現在の仕事にご自身が向いていると思いますか?
古川:半分半分ですね。ひとつのことを諦めないで追求する性格は役者に向いている一方で、素を出し過ぎる性格は向いていないと思います。「役者 古川雄輝」として求められている像に徹しきれない、というか。「職人気質」過ぎる性格も役者には向いていないと思います。この仕事は、社交性や人間関係もとても大切です。でも僕はつい芝居だけに集中してしまう。だから、半分は向いているけれど、半分は向いていないですね。
——「半分向いていて、半分向いていない」は面白い考え方ですね。そう言われると、向き不向きなんて関係なく、好きなことをやってみようという気持ちになります。
古川:好きなことを仕事にするのはいいと思うけれど、趣味は仕事と離してもいいんじゃないかと思います。趣味を仕事にするとリアルが見えてしまって、純粋に楽しめなくなってしまうかもしれないから(笑)。
収入だけを見て仕事を決めるのも、個人的にはやめたほうがいいと思っています。いずれある一定の収入に到達したとき、収入に対しての幸福は感じにくくなるから。まあ、この考えももしかすると時代遅れかもしれませんが……。それよりも、その仕事にやりがいを感じるか、会社から評価してもらえるか、あるいはその会社にいい人がいるかどうか。仕事は、「人」と「やりがい」で選ぶべきだと思っているので、好きなことを仕事にするのはいいことだと思いますね。

——では、学生時代の古川さんのように、好きなことが見つからない・わからないという人が好きなことを見つけるためには、何が必要だと思いますか?
古川:自分から動くことです。僕もミスターコンテストに出ていなければ俳優になっていません。やりたいことがないなら、興味がなくても何かしら行動したほうがいい。それが「飲み会に行く」でもいいんですよ。もしかしたらそこで、ある職業の人と出会って、その仕事に興味を持つようになるかもしれないし。
もちろん、行動した結果、何にもならないこともあると思います。でもそれ自体がすでに経験になっているんです。「じゃあ次は別の行動をしよう」と考えることができる。失敗が勉強になるんです。「海外に行く」でもいいですよね。例えば、僕は仕事でフランスに行きましたが、そこで仕事よりもバケーションを重視する価値観に触れました。そういう価値観を持ち帰るだけで意味がありますよね。「自分もちゃんと休むことを大切にしながら人生を進んでいこう」と考えられるようになったら、それは「海外に行く」という行動を起こさなければ得られなかった価値観です。
——無駄な行動はないということですね。最後に、頑張っている就活生に対してエールをお願いします!
古川:今、その悩みは人生最大の悩みのように感じるかもしれませんが、就職活動が終わり、30歳も超えたタイミングで振り返ってみると、意外とそんなにたいしたことじゃなかったとわかると思います。だからそんなに深く悩まなくてもきっと大丈夫です。自分を信じて、自分がいいと思った方向に動いてみて、それが仮に失敗だとしても、失敗を機に次は必ずいいことがあります。「失敗していい」という感覚で一緒に挑戦しましょう!

——クールな表情とスマートな言葉の裏に「一度決めたことは貫き通す」と熱さを見せる古川さん。冷静と情熱のあいだで自身を客観的に見つめる姿勢が印象的でした。そんな古川さんも、学生時代に自分のスキがわからない中で「ミスターコンテストに出場する」と行動したことが、現在につながっています。
今、自分のスキがわからずに悩んでいる方は、行動し、そこから学び、また行動する、このサイクルに身を置いてみてはいかがでしょうか? それがどんなささいな行動だったとしても、その先には、自分だけの正解につながるヒントがあるはずです。
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(企画:株式会社十三夜 / 編集:株式会社エクスライト / 取材・執筆:山田宗太朗 / 写真撮影:品田裕美)
