
「インターンシップ」という言葉はよく耳にしますが、「本当に参加する意味はあるのか」「就活に有利になるって本当なのか」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。インターンシップはここ数年で制度や位置づけが見直され、以前にも増して重要な存在になっています。
この記事では、インターンシップの新しい定義から、オープン・カンパニーとの違い、参加するメリット、そして具体的な探し方や選考対策、マナーまでをわかりやすく解説します。インターンシップを「なんとなく気になる存在」から「自分の将来を考えるヒント」に変えるきっかけとして、ぜひ参考にしてください。
インターンシップとは?
インターンシップとは、学生が一定期間、企業の仕事を実際に体験できるプログラムのことです。単なる会社説明会や職場見学のように話を聞くだけでなく、「働く側」として業務に関わる点が大きな特徴です。
その本質は、企業での就業体験を通して、業界や仕事への理解を深めながら、自分自身のキャリアを考えることにあります。実際の現場に身を置くことで、「どんな仕事に興味があるのか」「どんな働き方が合っていそうか」といったことを、より具体的にイメージできるようになります。
さらに、令和5年度(2023年度以降)から、インターンシップの定義が国によって明確にルール化されました。これにより、「インターンシップ」と呼ばれるプログラムでも、内容や位置づけに違いが生まれています。
新しいルールでは、目的や内容に応じて、学生向けのプログラムは次の4つのタイプに分類されています。
| 類型 | 名称 | 期間 | 就業体験 | 採用選考への可否 |
| タイプ1 | オープン・カンパニー | 1日 | なし | 不可 |
| タイプ2 | キャリア教育 | 2日以上 | なし | 不可 |
| タイプ3 | 汎用的能力・専門活用型 | 5日以上 | あり(必須) | 可能 |
| タイプ4 | 高度専門型 | 2週間以上 | あり(必須) | 可能 |
企業によっては「1day仕事体験」や「1dayインターンシップ」といった名称を使用している場合もありますが、すべてが新定義上のインターンシップに該当するわけではありません。
令和5年度以降のルールでは、原則として就業体験を伴い、一定期間以上実施されるプログラムのみがインターンシップと位置づけられています。名称だけで判断せず、「就業体験の有無」や「期間」などを募集要項で確認することが大切です。
参考:文部科学省「令和5年度から大学生等のインターンシップの取扱いが変わります」
▼オープン・カンパニーとの違い
オープン・カンパニーは、企業が学生に向けて「うちはこんな会社ですよ」と自社の事業内容や職場の雰囲気などを説明し、交流を深めることを目的としたイベントです。多くは1日程度の短期間で、企業説明会や交流会形式が中心です。基本的に就業体験は行いません。
対して、インターンシップは、社員の一員として働くことを通じて、実務や企業文化を肌で感じるプログラムです。さらに踏み込んだ実践的な経験を積むための機会として捉えると良いでしょう。
また、選考への影響にも違いがあります。オープン・カンパニーは原則として採用選考とは切り離された位置づけです。一方で、一定の要件を満たしたインターンシップでは、参加中の取り組みが採用選考の参考情報として活用される場合があります。
▼キャリア教育との違い
大学で行われているキャリア教育も、将来を考えるうえでとても大切な取り組みですが、インターンシップとは役割が異なります。
キャリア教育は、学生が将来の生き方や働き方について幅広く考え、自己の適性や興味を見つけるための学びの総称です。大学の講義やワークショップ、グループディスカッションなど、座学を中心としたプログラムが多いのが特徴です。
一方、インターンシップは、実際の企業現場で「仕事」を「体験」することに特化したプログラムです。座学だけでは得られない現場の空気感やリアルな働き方を知ることができます。
なお、キャリア教育もオープン・カンパニーと同様、原則として採用選考に活用することはできないとされています。キャリア教育で方向性を整理し、インターンシップで実践的に試す。この2つをうまく組み合わせることで、将来の選択肢がより具体的になっていきます。
▼アルバイトとの違い
学生が「仕事をする」という点では、アルバイトとインターンシップは似ているように見えますが、目的と得られる経験は大きく異なります。
アルバイトの主な目的は、働いた対価として給料を得ることで、決められた業務をこなすのが中心です。
一方、インターンシップは将来のキャリアを考えるための経験を目的とし、業界や企業の雰囲気、実際の仕事内容を知ることができます。社員からのフィードバックや指導を受けられる機会も多く、将来のキャリア形成に直結する学びが期待できます。
アルバイトも大切な社会経験ですが、「将来どんな仕事をしたいか」を考えたい人には、インターンシップのほうがおすすめです。
インターンシップが注目される背景
最近は、インターンシップが企業にとっても学生にとっても、大切な機会として捉えられるようになってきました。その背景には、企業側の採用スタイルの変化と学生側のキャリア意識の変化があります。
企業は入社後のミスマッチを防ぐため、早い段階から学生と接点を持ち、実際の仕事を通して相互理解を深めたいと考えています。一方で学生側も、自分に合う仕事や働き方を知るために、説明会やネットの情報だけでなく、現場を体験しながら判断したいというニーズが高まっています。
さらに先述したとおり、インターンシップの定義が国によって明確にルール化され、一定の要件を満たすプログラムについては、採用選考に活用できる仕組みも整いました。
これまでは、「なんとなく参加しておくもの」というイメージだったインターンシップですが、現在は企業と学生が互いを理解し合い、将来を考えるための大切な場へと変わってきています。
学生がインターンシップに参加するべき3つのメリット

ここからは、就活に悩む学生こそ知っておきたいインターンシップに参加する3つのメリットを紹介します。
▼メリット1:業界や企業への理解が深まる
大学の講義や就職情報サイトだけでは分からない、業界や企業の「リアル」を体感できるのが、インターンシップの大きな魅力です。実際に社員の方と関わりながら業務に携わることで、仕事内容や職場の雰囲気を具体的に知ることができます。
「思っていたイメージと違った」「意外と自分に合っていそう」といった気づきは、将来のミスマッチを防ぐヒントになります。現場を知ることで、企業や業界への理解も、少しずつ自然と深まっていくはずです。
▼メリット2:自己分析に役立ち、将来のキャリア像が明確になる
インターンシップは、実際の仕事を体験しながら少しずつ自分を知っていくための場です。業務に関わったり、社員の方の話を聞いたりする中で、「これは楽しい」「これは少し苦手かも」といった小さな気づきが生まれます。
その積み重ねが、将来のキャリアを考えるヒントになります。「やりたいことがまだ分からない」という人にとっても、焦らず自分の方向性を探していくための、心強い一歩になるでしょう。
▼メリット3:選考で有利になる可能性がある
すでに触れたとおり、令和5年度からは一定の基準を満たしたインターンシップでは、企業がインターンシップ中の様子や取り組みを、採用選考の参考にできる仕組みになっています。つまり、インターンシップで前向きに取り組むことで、選考でプラスに評価される可能性があるということです。
もちろん、インターンシップに参加したからといって必ず採用につながるわけではありません。しかし、企業と早い段階で接点を持ち、理解を深められること自体が大きな価値です。就職活動を前向きに進めるための一歩として、積極的に活用していきましょう。
インターンシップはいつから?開催・参加時期
新定義のインターンシップは、主に大学3・4年生を対象としています。これには、学業と無理なく両立できるよう、実施時期を「3年生以降の長期休暇中」とするルールが設けられているためです。
開催・参加時期の目安は、以下のとおりです。
| 時期 | 主な内容・特徴 | こんな人におすすめ |
| 春(3〜5月) | オープン・カンパニーや仕事体験など、企業・業界理解を目的としたプログラムが中心 | まずは雰囲気を知りたい/情報収集から始めたい人 |
| 夏(6〜9月) | 募集が最も活発。5日以上の実務型など、本格的なインターンシップも増える | 実務を体験してみたい/志望業界を探したい人 |
| 秋(10〜11月) | 夏参加者向けの追加募集や、専門性の高いプログラムが増える | 興味のある業界をさらに深掘りしたい人 |
| 冬(12〜2月) | 本選考を意識した内容が増え、企業理解を深める時期 | 志望企業を絞り込みたい人 |
特に大学3年生の夏は、夏季休暇中でスケジュールに余裕があるうえ、就活への意識も高まる時期のため、参加者が最も増えるタイミング。興味のある企業を見逃さないためにも、早めに情報収集と応募準備を始めておくことが大切です。
自分に合ったインターンシップを見つける方法

インターンシップの探し方にはいくつかの方法があります。それぞれの特徴を知って、自分に合った探し方を見つけていきましょう。
▼就活情報サイトで探す
多くのインターンシップ情報が掲載されている就活情報サイトは、まず最初にチェックすべき場所です。大手サイトでは、業界、職種、勤務地、期間など、さまざまな条件で絞り込み検索ができるため、効率的に興味のあるプログラムを探せます。まずは広く情報を集めたい、という場合に非常に有効な手段です。
ただし、情報が多すぎるため、どのインターンシップが良いのか迷ってしまうこともあります。まずは、自分の興味がある業界や仕事内容を明確にしてから検索を始めるのがおすすめです。「まだやりたいことがはっきりしていない…」という人は、オンライン開催のプログラムから見てみるのも良いでしょう。
▼大学のキャリアセンターで相談する
大学のキャリアセンターは、学生の就職活動を専門にサポートする機関です。キャリアアドバイザーに個別に相談できるだけでなく、大学に寄せられる学内限定のインターンシップ情報や、OB・OGの紹介を受けられることもあります。履歴書の添削や面接練習など、選考対策の支援も期待できるため、ぜひ積極的に活用しましょう。
▼企業の採用ホームページを直接確認する
「この会社、ちょっと気になるな」と思う企業がある場合は、その企業の採用ホームページを直接チェックしてみるのもおすすめです。就活情報サイトには載っていない、企業独自のインターンシップやオープン・カンパニーの情報が公開されていることもあります。定期的にチェックすることで、最新の情報をいち早くキャッチできるでしょう。
▼OB・OG訪問や知人からの紹介で探す
OB・OG訪問を通じて、実際にその企業で働く先輩からインターンシップに関するリアルな話を聞くことができます。また、知人や先輩からの紹介で、一般には公開されていない非公開のインターンシップに参加できるチャンスもあります。人とのつながりを大切にし、積極的に情報交換をすることで、思わぬ出会いにつながるかもしれません。
インターンシップの選考方法
「インターンシップに参加したい」と思っても、企業は誰でも受け入れてくれるわけではありません。多くの場合、企業ごとに設けられた選考を通過する必要があります。
主な選考方法は次のとおりです。
- エントリーシート(ES)提出
- Webテスト(適性検査)
- グループディスカッション
- 面接(個人面接、グループ面接など)
なかでも多くの企業が重視しているのが、エントリーシートです。志望動機や自己PR、学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)、インターンシップで学びたいことなどがよく聞かれます。
一つひとつの質問に向き合いながら、自分の経験を振り返って言葉にするため、思っている以上に時間がかかるものです。締め切り直前に慌てるのではなく、早めに下書きを作っておくと安心です。
面接のマナーについては「面接マナーまとめ|入室・退室の流れから受付・身だしなみの基本」で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
インターンシップ当日の服装・持ち物・マナー

インターンシップへの参加が決まったら、当日を安心して迎えられるように、服装・持ち物・マナーの3点を事前に確認しておきましょう。
服装は、「スーツでお越しください」と指定された場合や、迷った際にはスーツを選ぶのが安心です。「服装自由」「私服可」の場合は、シャツやブラウス、ジャケットなどを取り入れたオフィスカジュアルを選びましょう。オンライン参加であっても、「見えないから大丈夫」と考えず、できるだけ全身の身だしなみを整えておくのがおすすめです。
持ち物は、筆記用具・メモ帳・スマートフォン・充電器などが基本です。あわせて、企業から指定された持ち物や、持ち込み禁止のものがないかも事前に必ず確認しておきましょう。
当日は、時間を守ることや明るい挨拶、話をよく聞く姿勢など、基本的なマナーを意識することが大切です。完璧を目指す必要はありませんが、丁寧に取り組む姿勢が伝わるだけでも、十分に好印象につながります。
インターンシップ参加後に行うべきこと
インターンシップが終わった後も、その経験を将来につなげるために、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
▼振り返りを行う
インターンシップに参加した後は、その経験を必ず振り返り、言語化することが重要です。参加して終わりではなく、得られた学びを自身の成長や今後の就職活動にどう活かすかを考えることで、経験の価値が最大化されます。
具体的には、以下の点をノートやメモに書き出してみましょう。
- インターンシップで経験した業務内容やプロジェクト
- 社員の方との交流を通じて感じた企業の雰囲気や文化
- 自身の興味や適性と、仕事内容がどれくらい合致していたか
- 得られたスキルや知識、気づき
- 今後、さらに深掘りしたいと感じたことや、新たに生まれた疑問点
振り返りは、自己分析を深め、エントリーシートの作成や面接での受け答えに活かせる大切な材料になります。少し手間に感じるかもしれませんが、あとから必ず役立つ作業なので、ぜひ取り組んでみましょう。
▼別の企業のプログラムにも参加してみる
インターンシップ参加後、スケジュールに余裕があれば、別のプログラムにも挑戦してみるのがおすすめです。
これまであまり考えていなかった業界や、企業規模の異なる会社など、あえて少し違うタイプのインターンシップに参加してみるのも一つの方法です。思いがけない分野に興味を持ったり、「自分はこういう環境のほうが合っているかも」と気づいたりすることがあるかもしれません。
インターンシップに関するよくある質問
インターンシップについてよくある疑問を、Q&A形式でまとめました。
▼インターンシップに参加しないと就活で不利になりますか?
結論からお伝えすると、インターンシップに参加しないからといって、必ずしも就職活動で不利になるわけではありません。ただし、参加することで得られるメリットは大きく、結果として選考でプラスに働くケースが多いのも事実です。
多くの企業がインターンシップを学生との重要な接点と考えており、仕事体験を通じて企業理解を深めたり、意欲や適性をアピールできたりします。企業によっては、インターンシップ参加者向けの選考ルートを用意している場合もあります。
インターンシップに参加していなくても、自己分析や企業研究を丁寧に行ったり、アルバイトやボランティアなどで経験を積んだりすることで、十分に就職活動を進めることは可能です。
迷っている場合は、まず1つだけでも参加してみるのがおすすめです。
▼インターンシップで給料(給与)はもらえますか?
インターンシップで給料(給与)がもらえるかどうかは、プログラムの期間や内容、そして企業の方針によって大きく異なります。
参加を検討する際は、必ず募集要項や企業の採用ページで、給料や交通費、その他の待遇について確認するようにしましょう。もし記載がない場合は、選考の過程で企業に直接問い合わせてみるのも良い方法です。
▼何社くらいのインターンシップに参加するのが平均的ですか?
就職情報サイトの調査などによると、平均的には2〜5社程度のインターンシップに参加する学生が多いとされています。しかし、数社から10社程度のインターンシップに参加する学生さんもいれば、特定の企業に絞って1、2社の長期インターンシップに深く取り組む学生もいます。大切なのは、「量より質」という視点です。
近年ではオンライン形式のインターンシップも増えており、場所やスケジュールの制約が少なく、より多くのプログラムに参加しやすくなっています。無理のないスケジュールで、目的意識を持ってインターンシップに応募し、積極的に「体験」することが、就職活動を成功させる鍵となります。
まとめ
「インターンシップって本当に意味があるのかな?」と迷っていた人も、少しイメージが湧いてきたのではないでしょうか。インターンシップは、仕事や企業を知るだけでなく、自分自身を知るための大切な機会でもあります。
近年はインターンシップの制度や種類も整理され、「どのプログラムに参加するか」を意識して選ぶことがより重要になっています。募集要項を見る際は、名称だけで判断せず、「就業体験があるか」「期間はどのくらいか」を必ず確認しましょう。
迷ったときは、興味のある分野のオープン・カンパニーや仕事体験から参加してみるのも一つの方法です。小さな一歩でも、行動してみることで、きっと新しい気づきが得られるはずです。
