多くの就活生が直面する悩み。それは企業エントリーや面接時に問われる「志望動機」です。「志望動機なんてねーよ」と葛藤しながら就職活動を進めてしまっていることに、疑問や違和感を抱くことはありませんか? 特に、志望度の低い企業や中小企業への応募の際は、志望動機がなかなか思いつかないという声が聞かれます。ほかの就活生は、どのように対応しているのでしょうか?
そこで、志望動機について就活生は実際にどう考えているのか? アンケート調査を実施しました。寄せられた声をもとに、志望動機を言語化して内定を勝ち取っていく方法を考えていきましょう!。
就職活動では、履歴書やエントリーシートの作成、あるいは面接の際に、志望動機を問われることがほとんどです。しかし、多くの応募先企業の志望動機を一つひとつ考えていく難しさから、就活生の多くはこんな悩みを抱えているのではないでしょうか?
- 全部の会社の志望動機なんて思いつかない
- 難しく考えすぎているのだろうか?
- 「それ、うちの会社じゃなくてもいいよね?」って突っ込まれたらどうすればいい?
- そもそも志望動機があいまいな会社を受ける意味って…?
こうした悩みを抱える就活生は少なくないようで、「志望動機なんてねーよ」との本音はあちこちから漏れ聞こえます。就職活動で半ば自暴自棄となってしまう、要因のひとつにも挙げられるでしょう。
「志望動機なんてねーよ」はGoogleでもかなりの回数が検索されているキーワードで、就活生の葛藤がリアルに反映された魂の叫びです。
多くの就活生が直面する定番の悩みのため、その由来は明らかではありませんが、2015年当時、大きな反響を呼んだはてな匿名ダイアリーのエントリー「適当に生きられなくてしんどい」が元ネタとしてささやかれています。
数十社も受けなきゃいけない中で上位数社以外に志望理由なんてあるわけねーよばーか、一度も働いたことの無い学生に当社でどのようなことがしたいですかと聞かれても言えるわけねーよばーか、学生に企業研究を求めるのは企業側の教育の放棄なんじゃねーのばーかと心の中で噛み付いて就活から目をそらす自分を肯定してみても、冷静な部分の自分が、そうはいっても企業からしたら志望理由ややりたいことを言える子を採りたいと思うのは当然だよねって心の脛をコツコツと蹴りあげてくる。痛い。
粗雑な言葉遣いではありますが、この投稿は多くの学生の共感を呼ぶ内容が詰め込まれた珠玉のパンチラインとして話題となりました。まさに自分ゴトとして、自分の気持ちを代弁してくれたような納得感がありませんか?
飾り気のない言葉で本音が飛び交う「はてな匿名ダイアリー」や「Yahoo!知恵袋」「なんj」など匿名のコミュニティでは、「志望動機なんてねーよ」は、いまでも頻繁にみられる言説となっています。
「志望動機なんてねーよ」という投稿が多くの共感を集めた背景には、主に次の3つの悩みがあると考えられます。
- 「志望動機は嘘つき大会」という不信感
- 志望度が低い企業や中小企業では志望動機がなかなか思いつかない
- 志望動機を難しく考えすぎてしまう
「自分の本音を反映するよりも、応募先企業の理念に合わせた志望動機の方が、ウケがいいのでは?」。このように考える就活生は少なくありません。その結果、「志望動機に嘘を書いていいのだろうか?」と悩んだり、「そもそも志望動機は嘘をつくゲームなのでは?」といった不信感につながったりします。
しかし企業側にとって、志望動機は応募者と自社の相性や意欲をみるためものであり、嘘をついて仮に内定を得たとしても、深刻なミスマッチを招きかねません。また、採用担当者に嘘が見抜かれることもあるでしょう。
志望動機は嘘ではなく、伝え方を調整して本音を入れることが大切です。たとえば、「給料がいい」という志望動機であれば、「評価制度が整っていて、頑張りが収入に反映している」といった言い方にすると、印象は一変します。
志望度が高い企業を除くと、志望動機がなかなか浮かんでこない…。これも「志望動機なんてねーよ」の悩みにつながるよくあるケースです。また、大手企業は「業界トップシェア」「○○の分野のパイオニア」といったわかりやすい差別化ポイントがあるのに対して、中小企業は特色を見出しにくく、志望動機を考える難しさがあります。
企業研究を十分に行っていないのであれば、企業研究をもう一度深掘りして行うほか、さまざまな視点から同業他社と比較すると、応募先企業の特徴や強みを把握しやすくなります。
業界研究や企業研究を丁寧に行っていても、「志望動機なんてねーよ」と感じてしまう人は、難しく考えすぎているのかもしれません。
志望動機を難しく考えてしまう主な理由は2つあります。
- 「志望動機はかっこいい理由を書かなければいけない」という思い込み
- 志望動機を言語化するハードルの高さ
たとえば、「志望動機なんてない」と言っている人に、「何かその企業をいいと思った点はないか?」「この企業に対してどんな印象を持っているのか?」「この仕事っていいなとどんなことから思ったのか?」など、言葉を変えて聞いてみると、意外と志望動機につながるヒントが出てくることがあります。
自分では志望動機はないと思っていても、何かその企業を応募しようと思うフックとなったものは少なからずあるものです。過度に難しく考えず、応募先企業に惹かれた理由や働きたい理由などを考えてみましょう。
では、「志望動機なんてねーよ」という気持ちをどのように解決し、就職活動に臨めばいいのでしょうか? 就活生・新卒2年目までの元就活生を対象に実施したアンケートをもとに考えていきましょう。
- 調査対象:就活生、新卒2年目までの元就活生
- 調査人数:200人
- 調査期間:2022年9月
- 何回もある:59.0%
- 数回ある:32.0%
- ない:9.0%
「志望動機なんてねーよ」と思った経験を尋ねた質問では、「何回もある」という回答が圧倒的で、約60%を占めています。「数回ある」も加えると、「志望動機なんてねーよ」と考える就活生はなんと90%を超えているのです。
志望動機に関する悩みは、多くの就活生に共通しているということがデータの面からも示された結果となりました。
続いて、その理由や背景を尋ねた質問への回答も、具体的にみていきましょう。
「志望動機なんてねーよ」と思ったことが「何回もある」と答えた層からは、「お金に関する志望動機以外は考えられない」「そもそも働きたくない」「やりたいことがない」といった声が多く集まり、嘘をつくことへの葛藤も垣間見えました。
なかでも目立ったのは、志望動機はお金に関することしか浮かばなかったという声です。
「そもそも仕事自体したくない」という声や、特にやりたいことがないという意見も目立ちました。
就職活動では20社程度にエントリーするのが一般的です。「志望動機なんてねーよ」と思ったことが「数回ある」と答えた層からは、複数の会社の志望動機を考える難しさ、あるいは志望度の低い企業の志望動機の考えにくさへの悩みが見られました。
複数の会社の志望動機を考える難しさとして、業界や職種に対する志望動機はあっても個別の企業の志望動機を考えることが難しいという声が聞かれています。
また、新卒入社での内定を確実に獲得するには、志望度の低い企業への応募も必須とならざるを得ないため、自身の本心と乖離する葛藤もあるようです。
「志望動機なんてねーよ」と思ったことがないと答える層は、「志望動機がないわけがない」「志望する業界が決まっている」という声が大半を占めています。
まずは、「志望動機がないはずはない」「志望動機がない会社は受けない」という声から見ていきます。
また、志望する業界を軸に、企業ごとの志望動機を考えていったという声もありました。
「ない」派の意見は至極まっとうであり、「志望動機がないわけがない」は納得感のあるロジックです。しかし、大半の就活生が「志望動機がない」との声を吐露している通り、就職活動は理屈だけでは説明がつかない難しさがあることが垣間見えます。
多くの就活生が抱える悩みはどのように解決したらよいのでしょうか?
「志望動機なんてねーよ」を解決し、内定を勝ち取ったエピソードを聞いてみたところ、次のような回答が寄せられました。
- 企業研究に力を入れた
- 企業研究をもとに自分と関連性を持たせた
- 応募先企業と接点を持った機会を活かした
- 自分軸に立ち返った
- 言いづらい志望動機を正直に話した
「志望動機なんてねーよ」問題を解決し、内定を勝ち取ったエピソードで特に目立ったのは、ホームページなどをもとに企業研究を徹底的に行い、深掘りを重ねたという声です。
企業研究からさらに一歩踏み込んで、これまでの自分の経験やスキルと関連性のある志望動機を考えたという声も多く寄せられました。
インターンシップやOB・OG訪問、会社説明会、あるいは個人的に会社を見に行くなど、応募先企業と実際に触れる接点を持ち、より深く企業のことを知ることで、志望動機につなげたという声もありました。
ここまで紹介してきたのは「企業」を軸にした志望動機ですが、自分を軸とするという回答も。自己分析をもとに、自分の経験や長所・短所などから、会社に貢献できることをアピールしたという声も寄せられました。
「お金をたくさん稼ぎたい」「志望動機が特にない」などと、伝えるのを躊躇してしまいがちな志望動機を正直に話して、内定を勝ち取ったという声もありました。
上述のエピソードからもわかる通り、志望動機を固めるには、まずは企業研究を深く実践することがポイントです。インターンシップやOB・OG訪問、会社説明会などで企業を直接触れる接点を設ければ、特徴などをより深く理解できるようになるでしょう。
あるいは、自分軸に立ち返り、いかに応募先企業の事業に貢献できるかをアピールするといった方法もあります。企業の理念やビジョン、事業などをもとに、自分の経験やスキルと関連性を持たせると、よりリアルな志望動機になるでしょう。
志望動機がないと正直に伝え、熱意だけを伝えるという方法もありますが、これはあくまでも最終手段となるでしょう。
志望動機を考える難しさは、多くの就活生が抱えている悩みです。しかし、その企業を応募しようと思うフックとなった、何かしらの志望動機は少なからずあるはずです。
志望動機を言語化するには、企業研究や自己分析がポイントになります。応募先企業を理解し、そして自分自身を見つめ直し、自分らしい志望動機を整理してみましょう!