工場のライン作業はきつい?ついていけないと地獄!?向いている人・向いていない人の特徴
2024/11/14
工場のライン作業の仕事は、「きつい」「大変」といった声が聞かれることがあります。しかし、その一方で長期にわたってライン作業の仕事に就いている人も大勢います。実際のところ、ライン作業はきつい仕事なのでしょうか? ライン作業がきついといわれる理由や、きつさを克服するコツをおさえたうえで、ライン作業の向き・不向きについて考えていきます。
工場のライン作業とは
工場のライン作業とは「ライン生産方式」を指すもので、ベルトコンベアなどで流れてくる製品や部品の加工・組立などを流れ作業で行う生産方式のことです。
工場の流れ作業には、次のような特徴があります。
- 生産ライン上に作業場が設けられており、配属先によって受け持つ作業は異なる
- 基本的には決められた作業手順に従い、同じ作業を繰り返す
- 体力的な負担の少ない軽作業から力仕事まであり、専門性を求められない単純作業が中心
- 加工や機械オペレーション、組立、検品、仕分け、梱包などの工程がある
- トヨタやホンダをはじめとする自動車工場や家電工場、食品工場、化粧品工場など、さまざまなジャンルの工場で採用されている
- 雇用形態は正社員や契約社員(期間工)、派遣社員、パート・アルバイトと多様
- 工場や担当する作業による違いはあるが、高校生からシニアまで幅広い人材が活躍している
- 立ち作業でベルトコンベアから流れてくるスピードに合わせ、正確に作業をしなければならないという大変さがあり、「きつい」「地獄」といわれることもある
- 単純作業が好きな人や体力に自信がある人は適性があり、「楽しい」と感じる人もいる
ライン作業はきつい?地獄?現場のあるあるから考える
ライン作業は「きつい」「地獄」と称されることもありますが、それは本当なのでしょうか? ライン作業がきついといわれるよくある理由を、現場の「あるある」から考えていきます。
【ライン作業のあるある・噂】
- 慣れるまではスピードについていけない・間に合わない
- ベルトコンベアに酔う…「頭がおかしくなる」の悲鳴も
- 「ミスしてはいけない」精神的な圧迫感
- 「トイレに行けない」「おむつ必須」の噂は間違い
慣れるまではスピードについていけない・間に合わない
ライン作業では、ベルトコンベアなどで製品や部品が流れてくるスピードに合わせた作業を常に求められます。そのため「ベルトコンベアのスピードの速さについていけない」「作業が遅れて周囲に迷惑をかけるのがつらい」といったように、スピードについていけない、作業が間に合わないつらさを訴える人は少なくありません。
慣れてしまえば、大半の人がベルトコンベアに合わせて作業を行えるようになりますが、慣れるまではつらさを感じるのも無理はないでしょう。
ベルトコンベアに酔う…「頭がおかしくなる」の悲鳴も
ベルトコンベアで流れてくる製品や部品を集中して見続けていると酔ってしまい、「頭がおかしくなる」「気持ち悪くて吐いてしまわないか心配」とつらさを訴える人もいます。
ベルトコンベアで酔ってしまうのは、同じ姿勢を続けていることや一点を見続けていることが主な原因ですが、こちらも次第に慣れてくる人が多いようです。
「ミスしてはいけない」精神的な圧迫感
ライン作業でミスをすると、影響が次の工程にまで波及してしまうことから、ミスなくスピーディに仕事をこなしていくことが求められます。また、単純作業が中心となるため、仕事を覚えること自体は難しくなくても、集中力を切らしてしまいミスにつながるケースもあります。
結果、「ミスをしたら生産ラインが止まって迷惑をかけてしまう…」というプレッシャーから、精神的な負担を過度に感じてしまう人もいるのです。特に繁忙期は生産ラインがストップする影響が大きくなることから、強いプレッシャーを感じながら膨大な作業をこなしていくことに大きな負担を感じることがあります。
「トイレに行けない」「おむつ必須」の噂は間違い
ライン作業は「トイレに行けない」「おむつ必須」といった噂もありますが、そんなことはありません。ライン作業では2時間ごとに10分の休憩時間が設けられているケースが多く、そのときにトイレに行くのが基本です。ただし、工場によっては2時間ごとの休憩がなく、生産ラインが停止した数分でトイレに行くオペレーションもあります。
なお、そうした休憩時間以外でトイレに行きたくなったときには、班長など生産ラインに入っていない人に代わってもらうのが一般的です。事務職のように自由にトイレに行くことはありませんが、勤務時間中であってもトイレに行くことは可能です。
ライン作業のきつさを克服するコツ
ライン作業で言及されがちなつらさを見てきましたが、実際には多くの人が未経験から活躍しています。初めはきつく、つらさを感じていても、仕事に慣れてくるうちに悩みを解消できている人がほとんどです。
ライン作業のきつさを克服するコツとなる方法を紹介します。
- 仕事が早い人を参考に効率化を図る
- 自分なりの暇つぶし方法を見つける
- 精神的な負荷を軽減できるよう工夫する
仕事が早い人を参考に効率化を図る
ライン作業に慣れないうちは、ベルトコンベアのスピードに四苦八苦する人が多いものの、自然にスピードに慣れていったり、やり方を工夫してコツをつかんだりしていく人がほとんどです。
ライン作業は作業手順が決められていることが多いですが、早く作業を進めていくにはマニュアルには書かれていないコツがポイントになるケースもあります。短期間で周囲に追いついていきたい場合は、作業が早い人の動きをよく見て、やり方をまねてみましょう。見ているだけではコツがつかめない場合は、素直に相談してみるのもおすすめです。
自分なりの暇つぶし方法や「楽しい」を見つける
流れ作業でミスが起きる理由のひとつに、単純作業を続けていて集中力が切れることが挙げられます。また、単純作業が続くことに飽きてしまい、苦痛を感じる人もいるでしょう。対策として、集中力を維持したり、楽しみながら作業を行ったりする方法を考えてみましょう。
- 休日のスケジュールを頭の中で組み立てる
- 心の中でリズムを刻みながら作業する
- ベルトコンベアのリズムに合わせて頭の中で音楽を再生する
- 「〇個分の作業を終えるごと時計を見ることにして、心の中で時間当てクイズをやる」「出場者は自分のみで作業スピード選手権を頭の中で開催する」などゲーム感覚を取り入れる
ただし、集中力が切れてしまわない程度に楽しみましょう。
精神的な負荷を軽減できるよう工夫する
ライン作業に携わると、「ミスをしてはいけない」「時間が過ぎるのが遅く感じる」といった精神的な負担を感じてしまいがちですが、軽減するコツとなる次の工夫を取り入れてみましょう。
- 「検品に通る程度の精度」を維持し、完璧を求め過ぎない
- 心を無にするように心がける
- 時計を頻繁に見すぎないようにする
ライン作業では作業の正確性が重要になりますが、丁寧にやりすぎて時間がかかっている場合には、検品に通る程度の精度を意識することもポイントです。完璧を求め過ぎないことによって、ミスをしないことへのプレッシャーを軽減できるほか、作業時間を短縮できるため、ゆとりを持って作業に取り組めるようになります。
ライン作業に向いていない人・向いている人
工場のライン作業のきつさや克服するコツなどについて紹介してきましたが、そもそもライン作業には向き・不向きの適性があります。向いていない人・向いている人の特徴をもとに、ライン作業の適性についてさまざまな観点からみていきます。
ライン作業に向いていない人 | ライン作業に向いている人 |
---|---|
単純作業に耐えられない | コツコツと作業できる |
集中力にムラがある | 集中力を持続できる |
沈黙にプレッシャーを感じる | 物事に黙々と取り組める |
「やらされてる感」を払拭できない | 作業をゲーム感覚で楽しめる |
繊細な作業が苦手 | 手先が器用 |
単純作業の適性
ライン作業の多くは単純作業が中心です。単純作業が好きで、同じことを繰り返し行うことが苦にならない、コツコツと作業を続けるのが得意な人はライン作業に向いています。
一方、ルーティン作業を続けるのに苦痛を感じる人や、単純作業を「退屈」と捉えすぐに飽きてしまうような人には向いていないでしょう。
集中力の適性
ライン作業では、ベルトコンベアのスピードに合わせてミスなく作業をこなしていくことが求められるため、集中力が大切となる仕事です。集中して作業に取り組まなければ、不良品の発生につながったり、あるいは作業が遅れて生産ラインを止める事態に陥ったりします。そのため、集中力を切らさずに作業に臨める人には高い適性があります。
一方、集中力を欠いてしまいやすい人は、作業の精度にバラつきが生じやすいことから、ライン作業には向いていません。
コミュニケーションの適性
作業内容の指示を受けるときや作業の進め方を教わるときなどを除くと、ライン作業では仕事中にコミュニケーションをとる機会はほとんどありません。
そのため、頻繁に上司や同僚とミュニケーションをとりながら仕事をしたい人や、沈黙が苦手な人は不向きです。一方、黙々と作業に取り組める人には適性があるでしょう。
モチベーション管理の適性
ライン作業は単純作業とはいえ、やらされている感を払拭できない人は向いていません。
「やらされている」状態では、ベルトコンベアのスピードに合わせて作業をする、ミスを起こしやすいポイントに気をつけて不良品を発生させないようにするといった配慮が行き届かず、いつまで経っても求められているクオリティで作業をこなせるようにならないことが考えられます。一定の精度の作業を行うには、ある程度のモチベーションが必要です。
これに対して、作業のスピードアップを図るために工夫をする、あるいはゲーム感覚で作業をして集中力を保つといった取り組みを行うなど、モチベーションを持って臨める人に適性があります。
ライン作業は女性にも適性あり
ライン作業で担当する作業にもよりますが、細かい作業が得意な手先が器用な人に適性があります。
また、ライン作業の現場では、重いものを持つといった体力的な負担が少ない工程を中心に、女性も多く活躍しています。女性は器用で繊細な作業が得意な人が多く、細かな部分にも気を配りながら丁寧に仕事に取り組む傾向も見られます
ライン作業に就職・転職する方法
工場のライン作業の仕事は、正社員や契約社員(期間工)、派遣社員、パート・アルバイトと多様な雇用形態が用意されています。ライン作業に関わる仕事に就職・転職するには、直接、製造業の求人を探すアプローチのほか、派遣会社に登録する方法もあり、企業によっては契約社員や派遣社員、パート・アルバイトに対して、正社員登用制度を設けています。
工場のライン作業に関わる仕事への就職や転職に関して、未経験からでも始められるのか、志望動機はどうしたらよいのかといった点をみていきます。
未経験者でもチャレンジできる
ライン作業のなかには専門的な知識が求められる工程もありますが、多くの場合は特別な知識がなくとも未経験から十分にチャレンジできます。ものづくりの仕事に携わりたい人にとって、ライン作業は比較的ハードルが低い入り口となるでしょう。
なお、配属後はいきなり仕事を任されるのではなく、OJTを通じて先輩従業員がマニュアルにもとづいて教えていき、一通りの作業をこなせるようになるまでフォローするのが一般的です。
意外と悩みがちなライン作業の「志望動機」
ライン作業の仕事に就職や転職をする場合に、意外と悩みがちなのが志望動機です。志望動機に盛り込むべきポイントは主に2つあります。
1つ目は、「なぜライン作業の仕事をしたいのか」という点。たとえば、「ものづくりに興味があり、コツコツと作業をこなすのが得意」といったことが挙げられます。
2つ目は、「なぜ応募先企業を志望したのか」という点です。ライン作業の仕事を募集する工場は数多くあるため、そのなかでも応募先企業に惹かれた理由をアピールします。例を挙げると、「○○の車を作っていて昔から憧れている」「○○というパンに子どもの頃から親しみを持っていた」といった理由です。
まとめ
工場のライン作業は「きつくて大変」という声が聞かれることもありますが、仕事に慣れてくるうちにコツをつかんだり、自分なりに工夫したりすることで、多くの人がスムーズにこなせるようになっています。ライン作業に向いている人にとっては「楽しい」と感じることもある仕事です。
ライン作業は未経験からスタートしやすく、就職や転職のチャンスも十分にあります。興味のある人はぜ前向きにチャレンジしてみましょう。
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