

エンジニアとは?職種と仕事内容、必要なスキルを解説
2025/03/13
本記事のまとめ
- エンジニアとは技術者のことを指し、工学的な知識を生かして仕事する人のこと
- ITエンジニアには、システムエンジニアや組み込みエンジニアなどの種類がある
- エンジニアの平均年収は約649万円
- エンジニアのキャリアパスはプロジェクトリーダーを目指す方向か、スペシャリストを目指す方向かがある
- エンジニアになるには、学校に通って就職する方法や、研修制度がある企業に入社する方法がある
「エンジニアとは何をする人?」と疑問に思う人もいるでしょう。エンジニアとは、技術者を指す言葉で、近年ではITエンジニアのことをエンジニアと呼ぶことが多くなりました。そこで、本記事では主にITエンジニアについて種類や仕事内容、求められるスキルや目指す方法を解説します。
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そもそも「エンジニア」とは
エンジニアとは、もともとは技術者という意味の単語で、工学や情報技術の専門知識とスキルを生かして仕事をする人のことをいいます。たとえば、自動車や産業用ロボットなどの機械の製造を担う機械系エンジニアや、IT分野でシステム開発や運用を担うITエンジニアなどさまざまな分野で働いています。
なかでも、近年多くのエンジニアが活躍しているのがIT分野です。その背景には、ITが広く社会に浸透し、さまざまな産業にITが組み込まれることでITエンジニアの需要が増えていることがあります。
ITエンジニアの種類と仕事内容
ITエンジニアとは、システムを開発したり、デジタルを活用して業務効率や利便性を向上させて課題を解決したりするエンジニアのことをいいます。具体的にはITシステムやWebサービスなどの仕組みを、顧客の課題や要望に応じて形にする人のことです。そして、その後の運用も担っています。
ITエンジニアといっても、業務の対象領域や専門の技術領域により多くの種類があります。ここでは、ITエンジニアの主な種類について紹介します。なお、職務範囲の分担や名称などは所属する組織やプロジェクトによって異なる場合があります。
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システムエンジニア(SE)
システムエンジニアとは、プロジェクトの企画や設計、管理など、システム開発の上流工程を担当するエンジニアのことをいいます。クライアントの要望を反映しながらプロジェクト全体の設計を行い、開発期間や予算を考えた上でスケジュールや作業工程などの流れを可視化し、チーム全員が仕事に集中できる環境をつくります。
開発工程の実務はプログラマーが担当しますが、システムエンジニアはテスト工程やチェックなど下流工程の管理業務も行います。システム開発が終わった後も、改善・改良が必要な場合はクライアントとプログラマーの間に入って調整する役割を担っています。
Webエンジニア
Webエンジニアは、WebサイトやWebサービスの構築・運用を行うエンジニアです。WebシステムやWebサービスなどの複雑な仕組みをWebアプリケーションにより実現します。Webアプリケーションはフロントエンドとサーバーサイドで構成されており、どちらか一方を専門とする場合があります。
Webエンジニアは、Webサイトの要件定義、設計、構築、運用までが業務範囲です。プロジェクトによっては、プログラマーやテストエンジニアと業務を分担する場合があります。
組み込みエンジニア
組み込みエンジニアは、機械や機器上の小型コンピューターで動作するプログラム(組み込みプログラム)を設計、構築するエンジニアです。組み込みプログラムは、家電、車載器、工場などの装置に搭載され、機器の制御を行います。組み込みプログラムはIoT(Internet of Things)の実現に欠かせない存在です。
組み込みエンジニアは、組み込みプログラムの要件定義や設計、開発、テストまでを担当します。プロジェクトによっては、組み込みプログラムを搭載する製品やハードウェアの開発、機器や機械と組み合わせて実機上での動作チェックまでを業務範囲とする場合もあります。
インフラエンジニア
ここでいうインフラとは、サーバー、ネットワーク、クラウドサービスなどのITインフラのことで、インフラエンジニアは、ITインフラの設計、構築、運用保守を提供するエンジニアです。
ITインフラの提供により、企業や組織におけるコンピューターやインターネットなどを用いた活動を支えます。インフラ分野の中でもサーバーエンジニア、ネットワークエンジニア、クラウドエンジニアなど細かく領域がわかれています。
その他のエンジニア
ITエンジニアには、他にも種類があります。その代表例を紹介します。
セールスエンジニア
セールスエンジニアはITに関する知識を持ち、営業担当者の商談をサポートするエンジニアのことをいいます。商談における技術的なサポート、デモンストレーション、開発を担当するエンジニアとの連携などを行います。
フルスタックエンジニア
フルスタックエンジニアはWebサービスにおけるWebアプリケーションやネイティブアプリ、インフラといった広い領域が担当できるITエンジニアです。アプリケーション開発およびインフラの両方の技術分野の知識とスキルを持ち合わせていることが多く、複数の領域をカバーしながら活躍しています。
フィールドエンジニア
クライアントを訪問し、IT機器など自社が提供するプロダクトの故障やトラブル対応、保守点検などを行うエンジニアです。サポートエンジニアと呼ばれることもあります。フィールドエンジニアという名称は、IT以外の分野でも使われます。
アプリケーションエンジニア
アプリケーションエンジニアはプログラム、ソフトウェアの一種であるアプリケーションの設計、開発を担当するエンジニアです。広義ではシステムエンジニアの扱うITシステムもアプリケーションの集合体であり、Webエンジニアの扱うWebアプリケーションもアプリケーションの一種です。
したがって、ソフトウェアの開発に携わるエンジニアの総称ともいえます。近年では、とくにスマートフォン向けのスマホアプリを開発するエンジニアをアプリケーションエンジニアと呼ぶ場合も増えています。
ヘルプデスク・サポートデスクなど
ヘルプデスクやサポートデスクもエンジニアの一種といえます。ヘルプデスクは、企業や組織内のPCやITシステム利用上の課題を解決する仕事です。IT製品を提供する企業のサポートデスクは、顧客に対して利用方法の説明や利用上のトラブル解決を図ります。
プロジェクトマネージャー・リーダー、プロダクトマネージャーなど
ITエンジニアの中にはプロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダー、プロダクトマネージャーといった上流工程を担当するエンジニアとして活躍する人もいます。主な業務範囲として、システムの提案・企画、システム開発プロジェクトの計画・推進、上流工程の実務、プロジェクト全体の管理業務などを実施します。
エンジニアとしての役割が顧客の課題解決を成功に導くことのため、ITシステム、Webサービス、ITインフラ、組み込みシステムなどの開発プロジェクトにおいて要件定義、設計など行い、それ以降の工程作業への流れを作る重要な仕事を担っています。
エンジニアに求められるスキル
エンジニアの仕事は専門的な知識とスキルを持った技術者として、顧客の課題や要望を解決することです。そのため、ITエンジニアには共通して求められる全般的なスキルや知識があります。まずは全般的なスキルを6つ紹介します。
ITに関する基礎的な知識
コンピューターの仕組み、ハードウェアの構成、ソフトウェアの動作など基礎的な知識は必要です。
ロジカルシンキング
ITシステムは小さな仕組みを組み立てて構築します。そのため、論理的な思考をベースに、筋道を立てて矛盾やほころびがないように1つずつを積み上げて考える力が求められます。
コミュニケーションスキル
ITの開発はチームで取り組むことが一般的です。クライアントが求めるシステムを構築するため、コミュニケーションにより共通認識を積み上げていくスキルが必須となります。
ドキュメンテーションスキル
顧客との間、またチーム間で正しく情報を共有するため、プロジェクトを進行する際に定めた内容を要件定義書や設計書などとしてドキュメントにまとめます。テスト仕様やその結果も同様です。そのため、他者に意図が伝えられるドキュメント作成スキルが求められます。
課題発見、解決するスキル
ITの開発では、受注生産となることが多く、正解が示されていることは稀です。したがって、自らの業務対象の中で課題を探して改善するスキルが求められます。また、関係者が多く、技術的な問題なども起きることから課題解決力も必要なスキルにあげられます。
また、ITエンジニア全般に求められるスキルと知識に加え、システムエンジニアなど専門分野ごとにもスキルと知識が必要です。以下では、エンジニアの種類ごとに求められるスキルと知識を紹介します。
システムエンジニアに求められるスキル
システムエンジニアに求められるのが、顧客の業務内容や業界に関する知識です。ITシステムを活用して顧客の課題を解決するため、その業界で用いられる共通言語や、顧客固有の業務に関する知識まで幅広く知ることが求められます。
Webエンジニアに求められるスキル
Webエンジニアには、Web開発に使われるプログラミング言語に加え、効率的な開発を支えるフレームワークやライブラリに関する知見が必要です。Webではフロントエンド、サーバーサイドの両分野で多数のフレームワークが活用されているためです。
また、Webアプリケーションの中でも画面設計を行う場合には、ユーザーが利用しやすく、特別な体験ができるようUI/UX設計についての知見も求められます。
組み込みエンジニアに求められるスキル
組み込みエンジニアには、タイトな環境に対応したプログラミングのスキルが求められます。理由は、組み込みシステムの稼働環境では利用できる資源が限られ、不具合などが起きた場合に後から更新することが難しいためです。また、組み込みシステムを構成するデバイスについての知識やRTOS(Real-Time Operating System)などの知識も求められます。
インフラエンジニアに求められるスキル
インフラエンジニアは他のエンジニア職種と比べて専門性の高い分野のため、ITインフラの知識、設計、構築スキル、クラウドサービスを用いたインフラ構築スキル、セキュリティに関する知識などが必要になります。
その他のエンジニアに求められるスキル
以下、それぞれのエンジニアに求められる特徴的なスキルを紹介します。
セールスエンジニア
営業、交渉スキル
フルスタックエンジニア
技術分野の網羅的知識
フィールドエンジニア
自社製品に関する知識
アプリケーションエンジニア
スマホアプリ開発のためのツールやフレームワークを用いた開発スキル
ヘルプデスク・サポートデスクなど
ホスピタリティ、ユーザー視点で対話する能力
プロジェクトマネージャー・リーダー、プロダクトマネージャーなど
システム開発に関する深い知見、プロジェクトマネジメントスキル、課題対応への引き出しとなど
エンジニアが注目される背景と将来性
総務省の令和6年版情報通信白書によると、日本国内のGDPにおいてITエンジニアが主に活躍する情報通信業は商業、不動産業に続く3位の54.7兆円で、全体の10.1%を占めています。
また、情報通信業以外の分野の企業でも、ITやデジタル技術の活用によるビジネスの創出、情報発信などは現代社会において必須の課題です。デジタル技術により新たな価値を創出するDXの推進は、経済産業省など国をあげて推進している施策です。
一方、労働人口の減少などを背景に、ITエンジニアは不足している状況です。例えば、IPAのDX動向2024では、国内企業の85%以上がITエンジニアを主とするDX推進人材が質量ともに不足していると回答したと報告しています。
社会全体で需要が高まる中、エンジニアの人材不足が続く状況から、ITエンジニアに注目が集まっており、今後の活躍が期待されています。
参考:「令和6年版情報通信白書」P105(総務省)
参考:「デジタル産業の創出に向けた研究会の報告書『DXレポート2.1(DXレポート2追補版)』を取りまとめました」(経済産業省/2021年8月31日)
参考:「DX動向2024」P31(独立行政法人情報処理推進機構(IPA)/2024年6月27日)
エンジニアの年収
国税庁の令和5年分民間給与実態統計調査では、ITエンジニアが含まれる情報通信業の会社員の平均年収は649万円でした。会社員全体の平均年収460万円と比較し、高い傾向にあります。
また、ITエンジニアはスキルの向上により収入が高められる仕事です。厚生労働省のIT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業などでもスキル向上に伴い、収入が増加することが示されています。
参考:「令和5年分 民間給与実態統計調査」(国税庁)
参考:「令和5年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告-」P161(国税庁)
参考:「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業」P19(厚生労働省/令和6年3月)
エンジニアのキャリアパス
ITエンジニアが目指せるキャリアパスには、複数の方向性があります。どのキャリアパスもスキルの向上が前提条件です。スキル向上に伴い、収入の向上や業務上で期待される役割が大きくなります。ここでは、2つのキャリアパスを紹介します。
プロジェクトチームのリーダー、マネジメントポジションを目指す
ITエンジニアの仕事はプロジェクトごとにチームで進めることが多く、そのチームをリード・管理する立場を目指すこともキャリアアップの選択肢の1つです。
より責任の大きな立場を目指し、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャー、プロダクトマネージャーなどのポジションへ段階的なステップアップを図るのが1つの方向性です。
特定の技術分野を専門としたスペシャリストを目指す
特定の技術分野に興味がある場合、その分野のスペシャリストを目指すことも選択肢の1つです。AIやデータ解析、ロボティクスなどの需要があり、継続的な成長を見込める専門分野を見つけ、知識とスキルを深めるのもエンジニアのキャリアパスとなります。
エンジニアになる方法
ITエンジニアに就職、転職する方法を紹介します。新卒からITエンジニアを目指す場合、専攻分野は必ずしも情報・工学系や理系である必要はありません。ただし、知識やスキルを持っていれば、選考で有利に働くため、事前に興味がある分野は勉強しておくことをおすすめします。
他の業種、業界から転職する場合は、転職サイトやサービスを用いて応募します。この際、スキルと知識は獲得している方が有利ですが、ITエンジニアの人材不足などの理由により未経験者にも門戸を開いている企業が増えています。第二新卒や中途の募集においても、入社後の研修制度を実施している企業があるため、応募前にチェックしましょう。
ITエンジニアのスキルのベースとなるプログラミングは書籍や学習サイトなどを利用して独学で習得することが可能ですが、プログラミングスクールに通うことも1つの方法です。お金と時間は必要ですが、効率的にスキルが習得できるため、即戦力としてスキルを身につけたい場合にはおすすめです。
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監修者

宗田 雅樹
人材開発部 キャリアコンサルタント
プロフィール
工学部機械工学科卒業後、新卒で自動車開発企業へ入社。自動車用エンジンを中心とした設計開発に従事する。その後、総合人材サービスの日研トータルソーシング株式会社に入社。
現在は、エンジニア採用および研修の統括責任者を務める。
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