【日本GLP×日研トータルソーシング】コラボ特集 第二弾:日本GLPと日研トータルソーシングが目指す「共創の生み出す価値」
日本GLPが目指す「止めない物流」とは、どのようなものなのか。同社の「止めない物流」への取り組みについて全三回に渡り紹介する特集企画。
第二回目となる今回は、日本GLPが取り組む“共創のコミュニティ”について紹介します。
日本GLPが開発する大規模多機能型物流施設「ALFALINK(アルファリンク)」。同施設では東日本大震災などを教訓に、免震構造や非常用電源等によるBCPの強化に努めているほか、働く人に優しい環境づくりやサプライチェーンの上流から下流すべての工程を行える施設整備などに取り組み、「止めない物流」の実現を支えています。
さらに、物流施設をテナント企業同士の“共創のコミュニティ”へと高める取り組みも展開中。その内容や独自性について、営業開発部長の小鷲博之氏に伺いました。
取材・文=辻村洋子 写真/畠中彩
物流施設を価値ある「共創の場」に
日本GLPは、全国約170棟の物流施設を展開する、国内の物流不動産市場でシェアNo.1を誇る大手不動産デベロッパー。同社が運営管理する物流施設は、すべてがほぼ100%の稼働率を維持しています。
中でも最近注目されているのが、最新の設備を備えた大規模多機能型物流施設「ALFALINK (アルファリンク)」。現在は神奈川県相模原市と千葉県流山市の2カ所に展開中で、今後は東京都昭島市や大阪府茨木市でも開発が決定しています。
こうした施設を次々と開発している背景には、EC市場の拡大に伴い成長を続ける物流業界を、さらに盛り上げていきたいという大きな目的があるといいます。営業開発部長の小鷲博之氏は『従来は単に商品を保管するための倉庫でありコストセンターとして捉えられていた物流施設を、利益を生み出すプロフィットセンターへ進化させたい』と語ります。
物流施設がプロフィットセンターへと進化すれば、物流業界にとってかなり大きなインパクトとなります。これまでコストでしかなかったものから、それを上回る価値を得られるようになれば、業界全体の活気が増し、変革に挑戦したり新たなアイデアに投資したりする余裕が、より多くの企業に生まれるかもしれません。
『物流現場の管理者の方々は、日々のオペレーションを止めないために多くの課題と向き合っています。それを解決していくためには、1社単独ではなく、複数の企業が互いの強みを生かして補完し合うことが重要なのではないかと考えていました。さらに、企業同士のこうした“共創”は新たなビジネス創出の機会にもなります。物流施設を課題解決や売上拡大につながるプロフィットセンターへと進化させるためには、そうした企業同士の共創を促す仕組みづくりが重要だと考えています』(小鷲氏)
多くの企業が入居でき、かつ宅配ターミナル機能も備えた「ALFALINK」は、その格好の場と言えます。例えば「GLP ALFALINK相模原1」では、佐川急便や西濃運輸といった大手宅配・路線会社のターミナルを誘致。ECサイト事業者にとっては集荷カット時間の後ろ倒しにつながり、出荷を翌日に持ち越すリスクが減ることになります。
さらに、館内には人材派遣事業者も営業所を構えているため、人手が足りなくなったら館内にいながらにしてすぐ相談できるという利点も。「宅配ターミナルが館内にあって雇用確保にも有利ということなら、Eコマースの物流に特化した拠点を開設しよう」と考えて入居を決めたテナント企業もあるといいます。
企業同士をつなぐ「GLPコンシェルジュ」とは
「ALFALINK」は、いわばハード面で企業の共創を支援する存在。日本GLPではそれだけにとどまらず、ソフト面での支援も強化しています。
それが、物流に関するさまざまな悩みをワンストップで解決・支援する「GLPコンシェルジュ」です。このサービスは、課題を抱えている物流企業と、それを解決できる企業とのマッチングを行うもので、小鷲氏を含めたコンシェルジュスタッフが中心となり、日々、企業同士の架け橋になるべく奔走しています。
こうしたサービスは、マッチング用のサイトやアプリなどをリリースして終わり、つまりどう活用するかはその企業の担当者次第…といったことも少なくありません。その結果、解決につながらなかったり使い方が煩雑だったりすると、徐々に活用されなくなってしまうことも。
その点、GLPコンシェルジュは日本GLPの担当者が直接話を聞いてマッチング相手を探す「顔が見えるサービス」であるところが特徴的。コンシェルジュ専属担当だけでなく、すべての営業チームのメンバーが共創を意識した活動をしているため、日々の面談を通じて多くの相談が寄せられているとのこと。
例えば「荷物が急に増えて保管スペースが足りなくなってしまった」というA社と、「荷物が減ってせっかく借りた倉庫がガラガラになっている」というB社。「急に人手が必要になったが人材が確保できない」というC社と、物流現場の短期立ち上げに強みを持つ、人材派遣・請負事業を行うD社──。
GLPコンシェルジュでは、蓄積した情報やパートナー企業との密接な連携を生かしてこうしたマッチングをすばやく行い、課題を抱える各テナント企業に最適なソリューションを提案しています。
『この取り組みは、お客様の課題解決の労力を少しでも減らしたいという想いのもと、1年前に立ち上げたばかりですが、昨年だけでもコンシェルジュデスクには300件を超えるご相談が寄せられています。特に多いのは倉庫スペースの過不足に関するご相談で、現在までに6,000坪以上のマッチングが成立しています』(小鷲氏)
ハードとソフトの両面から物流企業を支援
そのほか、「突然の配送依頼でトラックが手配できない」という相談に対しても、GLPグループで物流向けソリューション開発を手掛ける株式会社モノフルのプロダクト『スピード求車』により短時間でトラックを手配。2021年5月時点で車両手配率は98.4%にものぼっています。また、EC事業を営む荷主企業から「ラストワンマイル輸送に強い運送会社を紹介してほしい」といった相談が寄せられることも増えており、多くのパートナー企業の中から最適な運送会社を紹介した事例も。
「現場を効率化したいがどうすべきかわからない…」という場合には、人員増強やロボット導入など異なるアプローチを一緒に検証することも可能だといいます。「資材や機材を安く抑えたい」という要望に中古マテハン機器を扱う企業を紹介したこともあり、相談した企業からは「ここまで親身になってくれるなんて」と好評の声が上がっています。
ただ、これらはAIなどが対応するわけではなく、営業スタッフが直接悩みを聞いて解決につなげる「人対人」のサービス。時間や労力が必要なのにも拘わらずコンシェルジュデスクへの相談は無料で、しかも日本GLPの施設に入居していない企業の相談にも応えているといいます。
『もともと物流業界に貢献したいという想いで始めた取り組みなので、少しでもお役に立てたら嬉しいですね。そして、やはりビジネスの基本は人対人ですから、“生身感”を大切に、しっかり信頼関係を構築していきたいと思っています。多くの企業様に選ばれる物流不動産デベロッパーを目指して、今後もしっかりご相談にお応えできるよう取り組んでいきます』(小鷲氏)
「ALFALINK」とGLPコンシェルジュ、ハードとソフトの両面から物流企業の共創を推進している日本GLP。入居先を探している企業にとっては、このコミュニティに入ることで長年の課題を解決できたり、事業の幅を広げたりできる可能性もあります。その意味では、この取り組みは物流施設の新たな価値を提案するものと言えるでしょう。
その成果として、日本GLPのテナント企業やパートナー企業はさらなる広がりを見せています。昨年には、日研トータルソーシングも「GLPコンシェルジュ」のマッチングにより、「GLP ALFALINK相模原1」に入居。「ALFALINK」の共創のコミュニティのコンセプトに共感したことが決め手となった。「GLPコンシェルジュパートナー」の1社として「関東テクノセンター」と名付けられたこちらの事業所では、機材トラブルや人材不足といった入居企業の課題に対して、高いスキルを持つ保全技能士や技術者を迅速に派遣するなど、確かな協業体制を築いています。
『保全や技術者の派遣業務に強い日研トータルソーシング様なら、必ずや入居企業様に新たな価値を提供していただけるものと思い、今回のALFALINKへのテクノセンター開設をサポートさせていただきました。すでに、日本GLPのパートナー企業の1社として、入居企業様との共創・協業に力を発揮していただいております。日研トータルソーシング様の強みと当社の強みの相乗効果で、「GLP ALFALINK」はさらなる進化を遂げられたと思っています』(小鷲氏)
物流業界の応援団として共に未来へ
各企業の課題がスムーズに解決できるようになれば自然と共創も進み、物流業界の変革につながるような画期的なアイデアが生まれる可能性も高まります。社会インフラとしての「止めない物流」の実現、慢性的な人手不足の解消、現場の効率化など、新たな発想が必要とされている領域は依然として数多く残されています。
『企業様同士の共創を通じて、明日の物流の変革につながるような画期的なアイデアや取り組みを実現することも夢ではないと信じています。私たちはそれを後押しする『物流業界の応援団』であり続けたい。そのために何をすべきか、あらゆる部署の人間が日々考え続けています』(小鷲氏)
物流業界の応援団であり続けるために特に大切にしているのは、顧客の声にきちんと寄り添うこと。いま何に困っていて、何を望んでいるのか──。日本GLPのコンシェルジュ担当者や営業担当者は、そうした顧客の声をいちばん近くで聞ける存在と言えるでしょう。
小鷲氏は『だからこそ対話を大切にする姿勢をブレることなく守っていく』と力を込めます。顧客との対話を地道に重ねていけば、そこから次代の物流施設のあり方も見えてくるのではないでしょうか。
日本GLPが目指すのは、物流施設をコストセンターからプロフィットセンターへと進化させていくこと。その具現化に向けて、ハード面の「ALFALINK」、ソフト面の「GLPコンシェルジュ」という2つの軸を、社員たちの熱い思いが支えています。
「ALFALINK」に関しては、空調や冷蔵・冷凍設備の整備、自動化オペレーションのサブスクリプション化などに加えて、まだまだ実現したいアイデアがたくさんあるという小鷲氏。ソフト面でも、倉庫管理業務で手一杯になりがちな顧客を営業面でサポートできないか模索中とのこと。いずれも独りよがりなアイデアに終らないよう、顧客の要望をしっかり聞きながら検討していきたいと語ります。
『私たちが日々ショッピングを楽しんだり、好きな時に食材を手に入れたりできるのも、物流事業に携わっている方々のおかげです。そうした方々に誇りを持って働いていただけるよう、そして、次代の物流に貢献できるよう、尽力してまいります。』(小鷲氏)
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