【日本GLP×日研トータルソーシング】コラボ特集 第一弾:日本GLPが目指す「止めない物流」とは
EC市場の拡大もあり、人々の生活や経済活動を支えるうえでますます欠かせないインフラとなっている物流。こうした状況の中、「止めない物流」の実現に向け、物流会社を施設面で強力に支えているのが、国内トップシェアの大手物流施設デベロッパーの日本GLP株式会社です。
同社は、2021年に大規模多機能型物流施設「ALFALINK」の提供を開始。“創造連鎖する物流プラットフォーム”をコンセプトに、新たな価値、事業を生み出す場として大きな注目を浴びています。日研トータルソーシングも「ALFALINK相模原」に『関東テクノセンター』を開設。日本GLPとともに「止めない物流」実現に向け動き出しています。
そこで当サイトでは、日本GLPが目指す「止めない物流」とは、どのようなものなのか。
日本GLPの多機能施設×日研トータルソーシングの人材育成によるシナジーは、物流業界にどのような変化と影響をもたらすのか。全4回に渡り特集いたします。
第一回目となる今回は、物流施設「ALFALINK(アルファリンク)」が物流業界にもたらす新たな価値とは──。営業開発部長の小鷲博之氏に伺いました。
取材・文=辻村洋子 写真/畠中彩
+αの価値の提供をめざす先進的物流施設が好調
昨今のコロナ禍は、人々のライフスタイルに大きな変化をもたらしました。巣ごもり生活が続く中、ネットショッピングを利用する人が急増しEC市場は急拡大。それに伴って、Eコマース事業やその物流、いわゆる「EC物流」に携わる企業が大きく業績を伸ばしています。
こうした企業にとって欠かせないのが、商品の入出荷や保管を行う拠点となる物流施設。近年のトレンドとして、自前で用意するよりも物流不動産デベロッパーが開発した施設を借りるケースが多く、EC物流の好調によってその需要も増加を続けています。日本GLPが提供する物流施設も例外ではなく、現在のところ施設の稼働率は関東・関西ともにほぼ100%に達しているといいます。
しかし、こうした好調の陰で、施設の借り手である企業には新たな課題も生まれています。例えば、借りる面積や物量が増えるとそこで働く人材も増やす必要がありますが、それがなかなか集まらないことも。日本GLP営業開発部長の小鷲博之氏は「私たちは施設を提供したら終わりではなく、ご入居いただいたその先の課題解決のお役にも立ちたい」と語ります。
『当社は従来から、単に場所としての施設ではなく「物流が抱えるあらゆる課題を解決する」施設を目指してきました。人材に関する課題に対しても同じで、近年は人が働きたくなる環境づくりへの取り組みを強化しています』(小鷲氏)
もともと同社では、“大型シーリングファンを設置して体感温度を下げる”、“快適なレストランや休憩スペースを設ける”など、働く人に優しい施設づくりにいち早く取り組んできたそう。加えて近年では、従来閉ざされたスペースであった物流施設を地域に開かれた空間へと変化させている。物流施設そのものや、そこで働くことに対するイメージを楽しいものに変えてもらおうと、地元のファミリー層に向けたイベントなども開催しています。
一方で、物流施設は社会インフラとしての役割も担っているため、災害やパンデミックにあっても機能を止めない、すなわち「止めない物流」を支える機能が必要になります。その点、同社では東日本大震災以前から免震構造や非常用電源を備えた施設を開発し続けており、コロナ禍以降は非接触のエレベーターボタンを導入するなど感染症対策にも力を入れてきました。
物流のオペレーションまでを含めたあらゆる課題解決に取り組む姿勢と、社会インフラを支える企業としての自覚。日本GLPの施設が高い稼働率を誇っているのは、こうした点が顧客に評価された結果とも言えるでしょう。
倉庫から価値創造の場へ、ALFALINKの挑戦
現在、日本GLPの運営・管理物件数は全国で約170棟。総延床面積は約1,000万平方メートルにものぼり、その中に約200社が入居しているといいます。2021年からは「ALFALINK(アルファリンク)」と銘打った大規模多機能型物流施設を次々と開発しており、今までにない価値や事業を創造するための拠点づくりに注力しています。
「ALFALINK」のコンセプトは3つ。第一はOpen Hub(物流をもっとオープンに)、第二はIntegrated Chain(サプライチェーンすべてをつなぐ)、そして第三はShared Solution(企業間の共創・協業を促しビジネスの進化をサポート)。その具体的な内容について、小鷲氏はこう説明します。
『いざというときには地域の方々に避難所として使っていただくなど、地域に開かれた空間になっています。また、サプライチェーンにおけるコスト削減にも貢献できるよう、特別高圧受電や給排水・給排気、ガスといった工場用途のインフラを備え、物流機能だけでなく製造拠点としても使えるようにしました。
さらに、入居している企業様の課題を解決すると同時に、企業様同士がさまざまな面で共創・協業していただくための架け橋的な役割も果たしていきたいと考えています。
例えば、日研トータルソーシング様には「GLP ALFALINK相模原」に入居いただいております。保全や技術者の派遣業務に強いことから、他の入居企業様の機材に故障などがあった際、スピーディーに修理担当者を派遣することが可能となります。日本GLPのパートナー企業の1社として、入居企業様との共創・協業に力を発揮していただいております』(小鷲氏)
従来は単なる「倉庫」と捉えられがちだった物流施設に、新たな価値を持ち込んだ「ALFALINK」。その最大の強みは何と言ってもスケール感で、例えば千葉県流山市に開設した「GLP ALFALINK流山」の延床面積は、日本最大級の90万平方メートル超。このスケールを生かすことで単体施設では採用が難しい託児所やコンビニ、直通バスの運行など共用サービスが充実しているのも大きな特徴です。
物流施設への需要が増加しているとはいえ、超大型施設の建設は莫大な費用がかかる一大事業。社運を左右しかねない挑戦に踏み切った裏には、どんな想いがあったのでしょうか。
『日本GLPは社会にどんな価値を提供できるのか、私たち営業担当者だけでなく設計や開発、施設管理など各部門の社員全員が日夜考え続けています。そして、物流不動産デベロッパーのトップランナーであり続けたい、物流の未来を創造していきたいという矜持を持って働いています。「ALFALINK」はそうした想いや、当社がこれまで培ってきた知見の集大成と言えるのではないでしょうか。挑戦を大事にする企業風土も大きな後押しになりました』(小鷲氏)
防災拠点やターミナルとしての機能も
では、「ALFALINK」を含めた同社の施設は、物流業界の至上命題である「止めない物流」にどう貢献しているのでしょうか。
免震構造や非常用電源、24時間365日の緊急対応体制などを備えていることから、過去には東日本大震災などで緊急支援物資の輸送拠点として活躍しました。
こうした活動をさらに拡大すべく、2020年には佐川急便と相互協力協定を締結。緊急支援物資の輸送や災害時における事業継続について協力体制を確立し、「止めない物流」への取り組みを強化しています。
『当社の物流施設は救援物資の備蓄庫や配送拠点として、また地域の方々の避難所として機能できます。一方で、佐川急便様には緊急物資を迅速に輸送する力や集積拠点での保管・管理業務を適切に行うノウハウがあります。2社がタッグを組むことで、人の命を守ることはもちろんのこと、災害による物流の寸断を防ぐことに貢献できるのではと思っています』(小鷲氏)
さらに、日本GLP、入居企業、自治体の3者による災害時協力体制も広がりつつあります。たとえば神奈川県の相模原市では、佐川急便および西濃運輸を交えた自治体との3者間協定を、千葉県の流山市では佐川急便を交えた自治体との3者間協定を締結し、「ALFALINK」を災害時の避難所や物資供給の場として提供することが決定。防災訓練など地域の方々を巻き込んだ防災への取り組みも展開しています。
『物流は社会の動脈のようなもの。それを決して止めない施設、かつ地域の防災にも役立つ施設として、少しでも社会に貢献していけたら嬉しいですね』(小鷲氏)
「止めない物流」の実現に向けた取り組みとしてはもうひとつ、「ALFALINK」が持つ「宅配ターミナル機能」も挙げられます。
「ALFALINK」シリーズの第1弾である「GLP ALFALINK相模原」と「GLP ALFALINK流山」では、宅配大手の佐川急便や企業間物流最大手の西濃運輸が宅配ターミナルを施設内に備えているため、他の入居企業は集荷・配達にかかる移動時間を大幅に節約することができます。特に「GLP ALFALINK相模原」に設けられた佐川急便の宅配ターミナルにおいては、集荷のカットオフ時間後ろ倒しの対応が可能であり、作業時間の確保や残貨の低減といった大きなメリットが生まれます。このように、「ALFALINK」が持つターミナル機能は、「止めない物流」の実効性をさらに高めるために重要な役割を果たしています。
地域の人々や物流業界の発展に貢献したい
「止めない物流」の担い手だけでなく、地域防災の担い手も目指す日本GLPは、すでに全国で12の自治体と災害時協力協定を結んでいます。とりわけ前出の流山市や相模原市は佐川急便、自治体と、神奈川県の平塚市においては、中央物産、自治体との間で3者間協力協定を締結。有事の際には自治体からの的確な情報発信のもと、佐川急便、中央物産の輸配送ネットワークと日本GLPの大規模かつ堅牢な施設を用いることで、周辺地域の避難者を受け入れる体制を構築。こうした防災拠点としての役割は今後も強化していく予定だといいます。
また、「地域との共生」も「ALFALINK」のコンセプトのひとつ。災害時の貢献だけでなく、平常時においても地域に開かれた施設、地域の方々が働きたくなる施設を目指してさまざまな取り組みを続けています。
物流施設が地域貢献や地域共生を掲げるのは、業界的にも新しい取り組みと言えるでしょう。顧客はもちろんのこと、地域や地元住民にも寄り添う施設を目指していく──。こうした姿勢からは、従来の物流施設にはない新しい価値を生み出していこうという強い意志が伺えます。
『一般の方々にとって、これまで物流業界は目立たない存在だったと思います。それが、2017年に話題になった「宅配クライシス」問題をきっかけにラストワンマイルの実情などもメディアで多く取り上げられるようになり、さらにコロナ禍において一層注目が集まっています。
エッセンシャルワーカーという言葉がありますが、私たちの何気ない日常や社会活動を日夜途切れることなく支えている物流従事者の皆様もまた、エッセンシャルワーカーであるといえると思います。だからこそ物流施設も、そこで働く人々が誇りを持てるような場所にしていかなければ。これからも日本GLPでは、地域の方々に親しまれる施設、そこで働きたくなる施設を目指して、就業環境の向上やイメージアップに取り組んでいきます』(小鷲氏)
こうした取り組みは、物流施設のみならず物流業界全体のイメージアップに、ひいては慢性的な人手不足の解消にもつながる可能性があります。これもまた、日本GLPが提供する価値のひとつと言えるでしょう。
現在、関東圏を中心に展開している「ALFALINK」シリーズは、今後、関西・中部エリアなどでも開発の計画があると語る小鷲氏。「ALFALINK」に入居する物流企業が全国的に増えていけば、その企業間に共創が生まれる機会も、新たなビジネスが生まれる機会も広がります。
単なる「倉庫」から「共生・共創の場」へ。物流施設の未来図を描き出す存在として、「ALFALINK」の今後の展開に期待がかかります。
『防災意識の高まりやコロナ禍によるEC市場の活況で、『止めない物流』の重要性はますます大きくなっています。この社会的ニーズや物流の現場で働く方々の思いに、私たちもしっかり応えていかなければなりません。今後も、物流施設を新たな価値を創造する場へと進化させることで、物流業界の発展に貢献していきたいと思います』(小鷲氏)
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