保全請負のメリット|高度化する保全業務に不可欠な専門性と人材像とは
生産設備の安定稼働に欠かせない設備保全。しかし製造業の人材不足が深刻化する一方で、生産設備の高度化が進む昨今では、専門人材を確保する難しさが加速しています。そこで選択肢として挙がるのが、専門教育を受けた人材をアウトソースする「保全請負」を活用する方法です。
保全業務の現状と課題について触れたうえで、保全請負を活用するメリットを紹介していきます。
お役立ち資料はこちら
目次
保全業務とは
まずは保全業務の概要に触れたうえで、保全業務による効果や現状の課題、現場の実態などについて、いま一度整理していきます。
設備保全業務の概要
保全業務は、事後保全と予防保全、予知保全に分類され、保全活動を実施するタイミングなどに違いがあります。
設備保全の効果と課題
設備保全を適切に行うことによって、生産ラインの安定稼働や労働災害の防止といった大きな効果が生まれるものの、現在では課題も浮き彫りになっています。
適切な保全業務が行われることで、不良品の発生防止や安定稼働を実現できるため、不良品の再生産のために発生する原材料費や従業員の残業による人件費といったコストを抑えられます。一方で、生産設備のオートメーション化・高度化によって、保全業務にハイレベルな専門教育が必要とされるようになりました。
また、リードタイムの短縮が求められていることからも、安定稼働が「前提」とされる厳しさが生じています。さらに、設備保全を適切に行っていても、作業手順が遵守されていないケースなど、人的ミスやオペレーションの不備による事故はなくなっていません。
現場に求められる具体的な人材
生産設備の高度化によって、人材に求められる専門性はますます高まっています。現在の保全業務において、次に挙げる人材不足が顕在化しているのです。
- 保全技能士
- フィールドエンジニア
保全技能士とは、国家検定制度である技能検定によって取得できる機械保全技能士のことです。工場の生産設備の保全に必要な知識・技術の習熟度を図るもので、特級・1級・2級・3級が設けられています。
特級以外の級では、機械系保全作業と電気系保全作業、設備診断作業の作業別の試験が実施されます。また2級以上では、実務経験の年数による受検資格が設けられています。こうしたことから、保全技能士の有資格者は、設備保全に関して一定以上の知識とスキルを持っているといえます。
フィールドエンジニアは、自社商品の納入時のサポートや定期的なメンテナンス、トラブルの解決といった、主にIT機器の顧客対応を行う役割を担っています。幅広い製品のICT化が進んでいることから、こちらもニーズが高い職種です。
保全請負のメリット
高い専門性が求められるにつれて教育コストも上昇している保全業務は、すべてを自社で担うのではなく、請負契約の活用という選択肢も検討されます。保全請負を活用するメリットや専門性が不可欠である理由などについて取り上げていきます。
請負の定義と指揮系統
請負と混同しやすいものに労働者派遣がありますが、この2つは似て非なるものです。
労働者派遣とは、派遣会社と労働者が雇用契約を結び、派遣会社と派遣先企業が労働者派遣契約を結んで、労働者は派遣先企業の指揮命令のもとで就労する形態です。
一方、請負は請負会社と労働者が雇用契約を結び、請負会社と発注者は請負契約を結びます。請負会社が労働者に対して指揮命令を行い、発注者は直接、指揮命令を行うことはできません。
また、労働者派遣の場合は労働関係法のうち、労働基準法と労働安全衛生法などの一部の規定は派遣先企業が責任を負います。請負であれば、発注者は労働関係法における責任は負いません。
保全を「請負」形式でアウトソースするメリット
保全業務の請負発注により、多くのメリットが期待されます。
- 人材リソースの削減
- 教育コストの低減
- 他社ノウハウの獲得
保全業務を請負形式でアウトソースした場合、指揮命令は請負会社が行うため、設備保全を担う人材のリソースを削減できるだけではなく、管理業務の負担も軽減できます。また、自社で保全業務に関する教育コストをかける必要がなくなることもメリットです。
さらに、請負会社の外部人材の設備保全のノウハウを自社に取り入れられることも期待できます。
保全請負スタッフには高い専門性が不可欠である理由
製造リードタイムの短縮が求められる昨今では、工場の生産設備の故障などによるダウンタイムの発生は生産計画に大きな影響を及ぼすため、適切な保全活動の実施は安定稼働に欠かせません。また、保全活動を実施していても、生産設備の故障や安全装置の不具合を見逃してしまうと労働災害に直結しかねないことから、クオリティも重要視するべきです。
一方で、生産設備はオートメーション化などによって高度化しています。そのため、機械保全技能士2級相当の知識や経験は不可欠となっているでしょう。
そこで、すでに教育がなされた専門人材による保全業務の請負サービスを活用することで、人的リソースや教育コストの低減を図れるとともに、外部ノウハウの獲得も実現します。
まとめ
生産設備の高度化が進み、リードタイムの短縮が求められている昨今では、保全業務の重要性は以前よりも高まっています。自社に設備保全に関する豊富な知識や経験を持った人材が不足しているケースや、人的リソースを割くことが難しい場合などは、請負によるアウトソースを検討してみましょう。
弊社、日研トータルソーシングの設備保全の取引実績は200社以上。設備保全の技術者を年間1,000名以上育成しています。
また、弊社テクノセンターで実施している設備保全の研修は、大手メーカー出身で生産技術に精通した「職業訓練指導員」の有資格者が担当。お客様との打合せから人材育成、配属までのすべてを担っています。
保全請負は、機械保全技能士や自主保全士など、専門教育を受けた有資格者が多数在籍する弊社にぜひお任せください。
お役立ち資料はこちら
現場担当者必見!年間研修実績10,000名以上の派遣会社が教える 人材定着徹底ガイド
年間研修実績10,000名を超える弊社が半導体・自動車業界の企業様から特に好評をいただいた「人材定着」に関する資料セットを作成しました。
資料内容
- 製造業の現場が抱えやすい人材育成の課題
- 総勢400名のアンケート結果から見る企業が取るべき対応
- 定着する人材育成のポイント