articlecontacticon-angle-downicon-angle-thickicon-angleicon-arrowicon-blankicon-bracketicon-bubbleicon-checkicon-conciergeicon-contacticon-documentsicon-facebookicon-hatebuicon-instagramicon-lineicon-linked_inicon-newicon-onlineicon-personicon-pinteresticon-plusicon-searchicon-serviceicon-tagicon-twittericon-webinaricon-youtubenewpickuprankingrelated-articlerelated-tagtagicon-movie
職種別ノウハウ

製造業における官能検査のメリット・デメリットや精度UPのポイント

製造業における官能検査のメリット・デメリットや精度UPのポイント
【新】wp06『設備保全導入ガイド』 ~人員不足、時間不足、ノウハウ不足…。 保全実施における課題をテクノセンターが解決!~

官能検査とは、人間の五感を使った検査方法のことです。

製造業では、製品の品質検査の際に色つやや見た目を視覚や触覚でチェックすることが官能検査に該当します。ただし、検査担当者の経験や感覚によって結果が大きく左右されるため、評価基準を明確にしなければなりません。さらに、官能検査と一言でいっても、さまざまな手法があり、手法ごとに検査できる対象が異なります。

本記事では、官能検査の概要や主な種類・手法、官能検査を導入するメリット・デメリットをわかりやすく解説します。製造現場の検査についての知識を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

  • 官能検査とは何か

    官能検査の概要や、官能検査の主な手法、製造業における具体的な活用例を解説。

  • 官能検査のメリットとデメリット

    機械では不可能な評価ができる一方で、制度がばらつきやすいなど官能検査を導入することの利点と注意点を解説。

  • 官能検査の精度を上げる方法

    検査見本を用意するなど、官能検査をより信頼性の高いものにするための実践的なポイントを紹介。

目次

    製造業における検査の基本「官能検査」とは 

    製造業における品質管理の現場では、製品の性能や外観を確認するため、さまざまな検査方法が活用されています。ここでは、官能検査の基本や種類、具体的な活用例について詳しく解説します。

    ここでは、官能検査の概要や種類を詳しく解説します。

    官能検査とは

    官能検査とは、人間の五感である「視覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」「聴覚」を用いて製品の品質を確認・判断する検査方法のことです。事前に用意されたサンプル品や判断基準と検査対象の製品を比較し、期待通りの品質が確保されているかを判定します。

    官能検査の代表的な検査対象は、次のとおりです。

     

    検査対象

    視覚

    製品の色合いやつや感・光沢感、滑らかさなどの質感、模様、表面のキズなど

    嗅覚

    食品・飲料・薬品などのにおい、プラスチック加工品や塗装の異臭など

    味覚

    味、舌触り、歯触りなど

    触覚

    触り心地、硬さ、肌触り、滑らかさなど

    聴覚

    駆動する際の異音、部品のゆるみやガタつきなど

    製造現場では、官能検査のうち、特に目視検査が広く採用されています。塗装の光沢や色、つや感、粗さのように機械では判断しづらい項目を検査するため、顧客目線から主観的評価できるのが大きな特徴です。

    官能検査では検査員が直接を行うため、特別な設備を導入する必要がなく、時間やコストをかけずに済みます。さらに、官能検査と機械や設備を用いた検査を組み合わせて実施することも可能です。

    官能検査の種類

    官能検査は、主に次の2種類に分類されます。

    • 分析型官能検査
    • 嗜好型官能検査

    それぞれについて詳しく解説します。

    分析型官能検査 

    分析型官能検査とは、製品の特徴や品質の差を検査員の主観ではなく、客観的に評価する方法です。

    事前に定められた評価基準との差異によって製品の良し悪しを判断する検査方法であり、製品の出荷時や工程能力の確認時はもちろん、製品開発中の品評会など、さまざまなシーンで活用されています。

    高い識別スキルが必要とされるため、一定水準以上の能力を持つ検査員が行わなければなりません。求められる検査精度や検査目的によっては、専門的な教育や学習が必要となるため、業務が属人化しやすい傾向にあります。

    嗜好型官能検査 

    嗜好型官能検査とは、製品に対する好みを調査する検査のことです。消費者行動の調査を目的として人の感情や好みを測定する検査であり、多くの検査員からの評価を集める必要があります。

    分析型のように客観的な検査をしないため、検査員の識別能力や検査能力は問われません。一般消費者の嗜好に近い検査結果を得るためにも、ターゲットとなる消費者の性別や年齢、生活環境などの属性をリサーチする必要があります。

    製造業におけるその他の検査方 

    製造業においては、官能検査以外にも、以下の検査方法が用いられています。

    • 破壊検査
    • 非破壊検査

    破壊検査とは、製品の強度や耐久性、内部の寸法や欠陥など、通常の検査では確認できないような項目を、製品を破壊することで検査する方法です。主に、材料の強度や製品の強度を確認する「強度試験」や、部品の寿命を確認する「耐久試験」、断面の寸法や空洞などを顕微鏡で確認する「断面観察」などがあります。

    一方の非破壊検査とは、代用の手法と品質特性を用いて、製品を破壊せずに検査する方法です。X線や超音波、電流などを使って、製品の強度や耐久性、断面を評価します。非破壊検査では、製品を破壊する手間やコストが発生しないため、その分効率的に検査を行えます。しかし、X線や超音波などの高度な機器を導入する必要があるため、初期導入時のコストが高くなるというデメリットがあります。

    官能検査の主な手法 

    官能検査には、さまざまな試験方法が存在します。そのなかでも代表的な官能検査の手法は、次のとおりです。

    • 二点識別法
    • 三点識別法
    • 一対比較試験法
    • QDA法
    • 二点嗜好法

    それぞれの手法を詳しく解説します。

    二点識別法

    二点識別法とは、2種類のサンプルを用意し、それらの特性の違いを判定する手法であり、分析型官能検査でよく活用されています。たとえば、「2つのサンプルのうち『硬い』という特性が強いのはどちらか」というように、2つのサンプルの差異を調査するのが特徴です。

    サンプルを2つのみ比較するため、検査員にかかる負担を最小限に抑えながら試験を実施できます。ただし、有意性のあるデータを収集するためには、一定以上の検査員数が必要です。

    三点識別法

    三点識別法とは、同じサンプル2つと異なるサンプル1つの3つを比較し、サンプル同士の差異や優位性を識別する方法です。サンプル間の細かな違いを調べるのに適しており、分析型官能検査でよく用いられています。

    比較対象が二点識別法よりも増えるため、少ない検査員でも制度の高い検査結果を期待できるのがメリットです。ただし、検査員にはより高い集中力が求められるため、大きな負担がかかるでしょう。

    一対比較試験法

    一対比較試験法とは、3種類以上のサンプルを用意し、その中から2つずつランダムに抜き出し、その2つのサンプルの比較を繰り返す試験方法です。複数のサンプルをまとめて対象にするのではなく、1対1のサンプルにのみ集中して検査するため、検査員の負担を軽減でき、検査結果の矛盾も生じにくいと考えられています。

    一対比較試験法は、分析型官能検査と嗜好型官能検査のどちらでも使われる検査方法であり、新商品の開発シーンで活用されています。

    QDA法

    QDA法とは、語彙力やコミュニケーション能力の高い人材を検査員として加えることで、通常の評価に必要な味覚や嗅覚などの感度のチェック項目だけでなく、言語化された特徴を数値化して評価する方法です。

    製品の特徴を網羅的に記述するため、ほかの検査方法よりもより多くのデータを得られます。味や触感、においなどのように、多角的な視点・観点が求められる飲食品の分析型官能評価においてよく用いられている方法です。

    二点嗜好法

    二点嗜好法とは、評価基準を設定していない2つのサンプル品を用いて、どちらのサンプルが優れているかを検査員が評価する方法です。

    識別能力は求められず、あくまでも検査員の好みを問うシンプルな検査方法であるため、多くの消費者を対象にして実施される嗜好型官能検査によく用いられます。

    官能検査のメリット・デメリット

    人間の五感を活用した官能検査を実施するメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

    メリット

    官能検査を実施するメリットは、次のとおりです。

    • コストを抑えられる
    • 機械では不可能な評価ができる

    それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

    コストを抑えられる 

    官能検査を実施する最大のメリットとして、低コストで実現できる点が挙げられます。特別な機械や設備を準備する必要がないため、導入のハードルが低く、設備費用や開発費用といった初期費用やランニングコストを抑えられます。検査員さえ確保できれば実施できるため、中小企業や新規事業の立ち上げ時でも、比較的簡単に品質管理体制を整備できるでしょう。

    機械では不可能な評価ができる 

    官能検査では、機械検査では数値化が難しい要素も評価できるため、時として最新設備よりも繊細でかつ複雑な判断を下せることもあります。

    特に、食品のおいしさや製品の質感、見た目の美しさなどのように、検査するうえでの明確な基準を設けられない場合や、微妙な違いを判断しなければならない場合などには、熟練した検査員の感覚を基に客観的に評価する官能検査が活用されているのです。

    デメリット

    官能検査を実施するうえで考えられるデメリットは、次のとおりです。

    • 評価精度がばらつきやすい
    • 評価基準の設定が難しい

    それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。

    評価精度がばらつきやすい  

    官能検査では、検査員の判定スキルや感覚によって、評価の精度がばらつく可能性が考えられます。また、同じ検査員が同じ検査対象を検査したとしても、検査日の体調や環境によって評価結果が変わる恐れもあるでしょう。さらに、検査数が多い場合も、疲労やストレスによって識別精度が下がるケースが考えられます。

    検査員のコンディションや環境の変化によって結果に影響が出る場合があると理解したうえで、検査方法の設計の検討や結果の確認を行いましょう。

    評価基準の設定が難しい 

    官能検査の課題として、検査の客観性を保つための評価基準を設定しづらいという点が挙げられます。官能検査では人間の五感によって検査が実施されるため、評価を数値化しづらいケースも少なくありません。

    統一した基準を設定するためにも、客観的に評価しやすい評価項目を事前に選定し、一度に検査するサンプリング数を限定するなど、検査員の疲労や集中力が結果に極力影響を与えないように配慮しましょう。

    官能検査の精度や信頼性を上げるポイント

    官能検査の精度や信頼性を高めるために押さえるべきポイントは、次のとおりです。

    • 検査見本を用意する
    • 検査環境を整備する
    • 検査作業を標準化する

    それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。

    検査見本を用意する

    官能検査を実施するためには、製品の合否を判断する基準となる検査見本が必要です。検査員による判断のばらつきを防ぐためには、合格と不合格の限度の見本をそれぞれ用意することをおすすめします。

    開発中などで完成品の見本を準備できない場合でも、検査を実施する項目を比較できる検査見本を用意できれば、適切な検査を実施できるでしょう。

    検査環境を整備する

    官能検査は、検査員の感覚に頼る部分が大きいため、検査環境によって結果が大きく左右されます。検査する製品によっても、適切な検査環境は大きく異なるため、検査する製品や検査項目に合わせて適切な検査環境を整えなければなりません。

    特に、温度や湿度、明るさ、騒音など、検査員が外部からの影響を受けないよう、検査しやすい環境を整えることが重要です。可能であれば、外部の音やにおいなどを遮断した専用の検査ルームを設置することをおすすめします。

    検査作業を標準化する

    検査の精度を維持できなければ、正常な評価は付けられません。その点、検査員の五感によって評価する官能検査では、検査員の識別スキルや感覚によって精度にばらつきが生じるリスクがあります。

    検査員による評価の差異を減らすためにも、検査基準や検査方法の標準化を図り、同一条件下で評価できるようにすることが大切です。

    検査員の教育やトレーニングを通して識別精度を高めるのはもちろんのこと、客観的な検査基準を設けることも重要です。検査の手順や方法といった一連の流れをフローチャート化したり、どの検査員が見ても理解できるような評価シートを導入したりすることで、検査作業を標準化できるように努めていきましょう。

    官能検査を正しく実施して品質向上につなげましょう

    官能検査では、人間の五感によって製品の品質を検査するため、機械や設備などの検査では判断しづらい感覚的な部分を低コストで評価できます。品質管理をはじめ、新製品の開発やマーケティング調査など、幅広い分野で活用されている方法です。

    しかし、近年の製造業では、人手不足の深刻化や検査業務の負担増加が課題となっています。官能検査の実施体制を維持しつつ品質管理を向上させるには、人員を適切に確保し、検査員のスキルアップや教育を推進することが重要です。官能検査の強みを最大限に活かし、製品の品質向上や需要拡大につなげるための人材戦略が、今後ますます求められるでしょう。

    慢性的な人手不足にお困りの製造業の企業様は、ぜひ日研トータルソーシングにご相談ください。

    豊富な知識を持つ日研トータルソーシングでは、これまでに培った研修教育力とサポート力を強みに、質の高い人材サービスを提供しています。製造業の業務効率化に向けた具体的な相談はもちろんのこと、製造現場のさまざまな課題や問題点についても随時相談を承ります。お気軽にお問い合せください。

    この記事を書いた人

    Nikken→Tsunagu編集部

    製造業・設備保全に関するお役立ち情報をお届け!
    業界の最新情報や製造に関わる人に役立つ情報を、人材派遣会社としての目線で発信しています。

    「人材の活用は未来をつくる」そんな思いから、お客様に寄り添った人材マッチングを実現するメディアです。

    お問い合わせ

    関連タグ

    タグ一覧