人材派遣単価の平均は?製造業の職種別の目安や派遣費用を抑えるコツ
各業界で人手不足が続く昨今、人材派遣を活用することは一般的になってきました。ただし、人材派遣を効果的に利用するためには、平均単価について深く理解する必要があります。人材派遣の平均単価は職種や業界によって大きく異なるため、自社が必要とする職種についてあらかじめ理解しておくとよいでしょう。
そこで本記事では、製造業の人材派遣の職種別の平均単価や派遣料金の内訳について詳しく解説します。単価を抑えるコツも併せて紹介するため、企業の人事担当者や経営者の方は最後までチェックしてください。
人材派遣の平均単価はどれくらい?
人材派遣の平均単価は、業界だけでなく、職種によっても大きく変動します。厚生労働省の「令和4年度 労働者派遣事業報告書の集計結果」によると、全職種平均で派遣料金は1日(8時間)あたり24,909円、派遣社員の賃金は15,968円です。
製造業に関連した職種の平均単価は以下の通りです。
【職種別】人材派遣の平均単価(一部抜粋)
派遣料金の平均(円) | 派遣社員の賃金平均(円) | |
---|---|---|
製造技術者 | 27,110 | 17,104 |
建築・土木・測量技術者 | 32,637 | 20,772 |
情報処理・通信技術者 | 32,871 | 20,120 |
生産設備制御・監視 | 18,530 | 12,136 |
機械組立設備制御・監視 | 19,484 | 12,604 |
製品製造・加工処理 | 16,073 | 10,956 |
機械組立 | 17,156 | 11,460 |
機械整備・修理 | 22,790 | 14,300 |
製品検査 | 16,074 | 10,855 |
機械検査 | 19,006 | 12,403 |
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全職種平均 | 24,909 | 15,968 |
【出典】「令和4年度 労働者派遣事業報告書の集計結果」(厚生労働省)
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/11654000/001234776.pdf
職種別の平均単価を見ると、製造技術者や建築・土木・測量技術者、情報処理・通信技術者の単価は全職種平均を上回っており、技術系職種の単価が比較的高いことがわかります。一方、製品製造・加工処理や機械組立など、製造に直接携わる職種は、全職種平均を下回っています。とはいえ、これらの職種は未経験者でも就業しやすく、比較的短期間で業務を覚えられる傾向があります。
人材派遣の平均単価は全体的に上昇傾向にあるといわれています。派遣料金は前年度比1.8%増、派遣社員の賃金も前年度比1.7%増であり、相場が底上げされています。この傾向の主な理由は、最低賃金の引き上げ、「同一労働同一賃金」の影響、IT・技術系の高時給派遣の増加などです。
最低賃金は物価の上昇などを理由に毎年引き上げられており、派遣単価の上昇にもつながっています。また、「同一労働同一賃金」とは、同じ仕事をしている正社員と派遣スタッフを含めた非正規社員の間の不合理な待遇差をなくす仕組みのことです。この仕組みによって派遣社員の待遇が改善されていることも、平均単価上昇の要因となっています。
さらに、近年ではデジタル化の進展によってIT人材の需要が高まっており、エンジニアなどの職種の割合増加が全体的な単価を押し上げている可能性もあるでしょう。
人材派遣単価の内訳
派遣のミスマッチは、派遣元企業はもちろんのこと、派遣先企業と派遣社員の側でも対策を講じることができます。ここでは、派遣先企業と派遣社員、それぞれの立場からできる対処法を紹介します。
派遣先企業ができる対策
派遣料金とは、企業が派遣社員を活用する対価として人材派遣会社に支払う金額のことです。以下では、一般的な派遣料金の内訳を示しています。
派遣料金の構造
派遣料金の内訳例 | 派遣料金に占める割合 |
---|---|
派遣社員の給与 | 70% |
社会保険料 | 10.9% |
派遣社員の有給休暇費用 | 4.2% |
諸経費 | 13.7% |
派遣会社の営業利益 | 1.2% |
【参考】「データ」(一般社団法人日本人材派遣協会)
URL:https://www.jassa.or.jp/know/data/
これらの割合は派遣会社や業種によって異なりますが、一般的に派遣料金の70%を派遣社員の給与が占めます。派遣社員に支払う給与は、改正派遣法に従い、労使協定や派遣先で同種の業務に従事する正社員との均等・均衡を考慮して決定されています。
また、派遣料金には、派遣社員の社会保険料や有給休暇費用も含まれています。これらは法令で定められたものであり、雇用主の責任によって適切に確保されていなければなりません。
加えて、諸経費や派遣会社の営業利益が入り、最終的な派遣料金が算出されます。諸経費には、教育訓練費や福利厚生費、人材派遣会社の従業員の人件費、オフィス・面接会場賃借料、募集費用など、さまざまな費用が含まれています。
派遣料金は、派遣社員の給与や社会保険料、派遣会社の営業利益などが合わさった金額なのです。
*派遣会社を選ぶ際は料金の安い会社を選ぶべき? 人材派遣を利用する派遣先企業としては、できる限りコスト削減をしたいという思いがあるでしょう。派遣料金は人材派遣会社によって異なるため、少しでも料金の安いところにアウトソーシングしたくなるかもしれません。 しかし、安さだけを基準にして選ぶのは早計といえます。 先述の通り、派遣料金には派遣社員の給与のほかに、諸経費や福利厚生費が含まれています。したがって、派遣料金がほかの人材派遣企業より高くても、その分教育訓練に力を入れている場合もあるのです。提供されるサービスや人材の質、信頼性などを総合的に考慮することがポイントです。 |
人材派遣単価を抑えるコツ
費用だけで派遣会社を決めるべきではないと理解しつつも、できるだけコストは抑えたいものです。そんなときには、以下の点に注意して人材派遣を活用してみましょう。
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人材派遣に必要な条件を洗い出す
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複数の派遣会社を比較する
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残業時間を削減する
それぞれ詳しく解説します。
必要な条件を洗い出す
派遣社員の採用にあたっては、自社が必要とする技能や経験を明確にしましょう。必要以上に高いスキルを求めてしまうと、採用コストがはね上がる可能性があります。過剰な条件による派遣料金の上昇を防ぐために、「あったらよい」スキルと「必須」スキルを区別しておきましょう。
求めるスキルを特性するには、アウトソーシングする業務内容を詳細に整理してください。スキルを言語化しやすくなります。その際、希望条件に優先順位をつけておくことも大切です。
複数の派遣会社を比較する
派遣会社によって費用や強み、得意な業種が異なるため、複数の派遣会社を比較することをおすすめします。派遣料金やマージン率といった費用面だけでなく、自社が求める人材を適切にアサインできるかも大切な検討事項です。具体的には、業種・年齢層・勤務可能地域・対応可能時間などを比較してみましょう。
残業時間を減らす取り組みをする
残業代は通常の時給よりも割増されるため、労務コストの増加につながります。そのため、派遣社員の残業時間が増えないように管理することも重要です。業務プロセスを見直し、適切な人員配置や業務の分担などを行うと効率化を図れます。
派遣単価を理解し、最適な人材活用を実現しよう
人材派遣の単価を理解することは、企業の人材戦略において重要です。単価は職種や人材派遣会社によって異なるため、自社の予算とバランスを取れるよう、最新の費用相場を調査・把握することをおすすめします。その際、単に低単価を追求するのではなく、必要なスキルを持った派遣スタッフを採用できるように、総合的な視点から判断しましょう。
派遣単価の構造を理解し、自社のニーズに合った人材を適切な単価で確保するためには、信頼できる人材派遣サービスを探すことも大切です。日研トータルソーシングでは、豊富な経験と幅広いネットワークを活かし、お客様のニーズに合った人材を、適切な単価で提供しています。人手不足にお悩みの企業のご担当者様はぜひ一度ご相談ください。