登録型派遣とは?常用型派遣との違いや派遣先企業にとってのメリット
登録型派遣は一般派遣とも呼ばれ、一時的に派遣労働者を雇用できるサービスです。有期で雇用する登録型派遣のメリットやデメリットを把握して、有効に活用できれば業務の効率化を目指せます。
一方で、派遣には無期で派遣労働者を雇用できる常用型派遣もあります。両方の違いを押さえて、自社に適した雇用形態を判断できるようになりましょう。
本記事では登録型派遣について解説しつつ、常用型派遣という無期雇用形態との違いなども解説します。
登録型派遣と常用型派遣の違い
雇用期間が有期の登録型派遣とは異なり、無期の常用型派遣という派遣スタッフサービスがあります。
どちらを選べばよいか迷うケースがあるため、まずはそれぞれの特徴を知りましょう。
以下では、登録型派遣と常用型派遣の違いについて詳しく解説します。
登録型派遣とは
登録型派遣は、派遣労働者が派遣会社と一定期間、雇用契約を結ぶ制度です。有期雇用派遣とも呼ばれ、労働者派遣法により就業期間が定められています。
具体的には、一部の業種を除いて、原則として最短31日から最長3年まで同一営業所での就業が可能とされています。このルールは派遣労働者の雇用安定を目指し、不安定な働き方を改善するために生まれました。
派遣先の就業期間が終了すると、派遣元会社との契約も同時に終わります。もし同じ派遣会社から再度派遣される場合は、新たに雇用契約を結ぶ必要があります。
派遣スタッフは自由度の高い労働環境の中で、安定した収入と経験を積む機会を得られ、労働者としてのキャリア形成が可能です。
また、登録型派遣は、日雇い派遣と似ていますが、雇用期間による違いがあります。雇用期間の最短日数が31日である登録型派遣に対し、日雇い派遣は31日未満の派遣期間で、週に20時間未満の労働形態を指します。ただし、2012年10月より一部の例外を除き、日雇い派遣は原則禁止されています。
常用型派遣とは
常用型派遣は、派遣会社に常時雇用されている形態を指します。雇用形態は正社員または契約社員です。無期雇用派遣とも呼ばれ、登録型派遣とは異なり、3年を超えて同一営業所で勤務できます。常用型派遣は直接雇用に分類され、一般的には勤務時間がフルタイムの月給制です。
派遣先企業との契約が終了しても、派遣元会社との雇用関係は継続され、派遣先が見つからない間も給料が発生します。
そのため派遣スタッフは、より安定した職場環境と収入を確保でき、安定した長期的なキャリア形成やライフスタイルが可能です。
また、複数の職種や職場での経験を積むことが可能となり、スキルの向上やキャリアアップの機会につなげられます。
◆登録型派遣と常用型派遣の違い一覧
待遇 |
登録型派遣 |
常用型派遣 |
雇用形態 |
契約社員 |
正社員または契約社員 |
同一部署での雇用期間 |
有期で最長3年 |
無期で3年以上も可能 |
利用目的 |
短期的な人材の補充 |
上流工程も見据えた長期的な雇用 |
給料形態 |
ブランク期間の給料は発生しない |
ブランク期間も給料が発生する 賞与がある場合がある |
キャリアアップ |
3年で次の就業先を探す必要がある |
スキルアップやキャリアアップを期待できる |
企業が登録型派遣を受け入れるメリット・デメリット
企業が登録型派遣を利用するメリットは、主に以下が挙げられます。
- 人手が不足しているときだけの採用が可能
- 豊富な人材から自社に合うスタッフ選定が可能
短期雇用のため、一時的な人材不足の解消や必要な人材雇用が迅速にできます。
一方で、依頼できる業務に制限があったり、育成コストがかかったりなどのデメリットもあります。
メリットとデメリットを把握し、登録型派遣を最大限に活用しましょう。
メリット
人手が不足しているときだけ採用できる
登録型派遣は、繁忙期や出産・介護で急な欠員がでたときなど、人手が足りないときにだけ人材を採用できます。
最短31日から派遣契約ができるため、繁忙期の数ヵ月間のみといった短期間の契約締結が可能です。繁忙期の人手不足が解消できるうえに、閑散期に入って人手が余ってしまい、余計なコストがかかってしまうのを防止できます。
必要な人材をすぐに確保するためにも、どのような人材を求めているのか、どのくらいの時期に必要なのかなど、派遣会社とこまめに情報のやり取りをするのがおすすめです。
豊富な人材から自社に合うスタッフを選べる
登録型派遣は、多種多様な人材から企業のニーズに適したスタッフを選べます。派遣会社は幅広い職種や専門分野の労働者を登録しており、求められる特定のスキルや経験を持つ人材を見つけやすいからです。
たとえば、特定の機械操作ができる技術者や特定のプロジェクトに適した経験豊富なスタッフなど、企業の具体的な要求に応じた人材選びが可能です。自社の仕事内容やプロジェクトに適した人材を採用できるため、安心して業務を任せられます。
そのため登録型派遣は、人材派遣事業の特徴を活かした効率的な人材確保方法と言えます。
ほかにも登録型派遣は、求人数の豊富さや、紹介予定派遣といった異なる雇用形態への移行がしやすいなど、企業にとって多くのメリットがあります。効率的な人材確保は、企業における人手不足の問題を解決し、より柔軟で多様な働き方を実現する重要な施策です。
デメリット
依頼できる業務に制限がある
登録型派遣のデメリットの一つは、依頼できる業務に制限がある点です。派遣契約では、事前に合意した業務内容のみを派遣スタッフに依頼できます。もし合意していない業務を派遣スタッフに依頼すると契約違反となり、労働者派遣法に基づく問題が生じる可能性があるため注意してください。
育成コストがかかる
登録型派遣では、同じ営業所や課で働ける期間が原則最長3年に限られています。そのため派遣契約が終了すると、新しいスタッフの別途雇用が必要です。また、新しい派遣スタッフに特定の業務を任せるまでには、時間とコストを要する育成が必要なため研修や指導には相応のリソースを割かなければいけません。
覚えるのに時間がかかる業務は任せにくい
登録型派遣スタッフは就業期間が短いケースが多いため、複雑で習得に時間がかかる業務の担当には向いていません。特に製造業においては、特定の機械操作や専門的な作業プロセスを習得するためには時間が必要です。短期間での効率的な業務遂行は現実的ではありません。その結果、必然的に派遣スタッフへの業務は、簡単に覚えられる単純作業や定型業務が多くなります。
企業にとって登録型派遣を受け入れたほうがよいケースは?
登録型派遣は有期雇用のため利用したほうが効果的な場合があります。具体的には、以下のようなケースです。
- 一時的に人手を補いたいケース
- スペシャリストを一時的に雇用したいケース
どのようなケースなのか、以下で詳しく解説します。
一時的に人手を補いたいケース
繁忙期や突発的な人手不足が発生した際には、登録型派遣が適しています。必要なタイミングで必要な人数の人材を確保できるからです。
たとえば、年末年始や期間キャンペーン中など特定のプロジェクト期間中などの一時的に作業量が増加するケースが効果的です。過剰な人員を抱えるリスクを避けつつ、業務の遂行を確実に行えます。このように派遣スタッフの活用は、固定的な雇用関係に比べて柔軟性が高く、急な人手不足に迅速な対応が可能です。そのため、業務の効率化や生産性の向上にも貢献できます。
さらに、派遣労働によって多様な経験やスキルを持つ人材を利用できるため、異なる職種や業務への適応力も高まります。
スペシャリストを一時的に雇用したいケース
特定のプロジェクトを成功に導くためには、その分野のスペシャリストの確保がポイントです。登録型派遣であれば、プロジェクト期間中に一時的に人材を雇用して円滑な進行ができます。
たとえば、工場のデジタル化(DX)推進や生産管理のオペレーション改善などのプロジェクトでは、その分野の専門知識を持つ人材が必要になります。登録型派遣は一時的ながらも、高度な専門知識を持つプロジェクトリーダーを柔軟に確保する手段に適したサービスです。
登録型派遣は必要な技術や経験を持つスペシャリストを短期間で雇用し、プロジェクトの成功に必要な専門性を補えます。技術進化が激しい製造業などにおいても、新しい技術や豊富な知識・経験を迅速に導入可能です。
登録型派遣を活用し、自社に必要な人材を採用しよう
登録型派遣は、派遣労働者が派遣会社と最長3年(同一部署)の雇用を結ぶ派遣形態です。短期での人材補充を効率的に行えるサービスで、特定のプロジェクト期間中などで効果を発揮します。一方で、育成コストのかかる業務を任せたい場合は、コストパフォーマンスが悪くなるため、登録型派遣には向いていません。デメリットも視野に入れ、登録型派遣の活用を検討しましょう。
一時的に専門性の高いプロジェクトリーダー職を期間中に雇用したり、短期で人材を補充したりする際に登録型派遣を活用するのがおすすめです。
もし登録型派遣の導入において、人材に関するお悩みや検討要素がある際は、製造業者に特化した人材紹介に強みのある「日研トータルソーシング」にご相談ください。
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