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業界トレンド - ものづくり

サービタイゼーションとは?注目が集まっている理由や企業の事例3選

サービタイゼーションとは?注目が集まっている理由や企業の事例3選
set02製造業トレンド集

「これからは製造業でもサービタイゼーションが重要、とはいうものの、サービタイゼーションってそもそも何?」とお困りではありませんか?

サービタイゼーションとは、製品だけでなく付随するサービスも一緒に販売する新しいビジネスの考え方です。多くの業界で採用されており、製造業においても高く注目されています。

製造業でサービタイゼーションという考え方が、なぜ注目されているのでしょうか?

本記事では、サービタイゼーションという言葉の意味や採用され始めた背景、具体的な事例についてご紹介します。

サービタイゼーションとは?

サービタイゼーションとは、製品だけでなく関連するサービスをあわせて提供する新たなビジネスモデルです。「モノのサービス化」とも呼ばれます。

従来のビジネスモデルは、製品を販売して利益を得るものでした。一方でサービタイゼーションは製品を販売して終わりではありません。付随するサポートの提供を通して顧客と良好な関係を築きます。長く利用してもらうことで、販売後も継続的な収益が得られるのが大きなメリットです。

サービタイゼーションの一例として、空調機器があります。空調機器の販売に加えて、快適な環境を作り出すシステムや、故障を防止するための遠隔サポートを提供しています。

たとえば、空調機器とインターネットを接続して稼働状況や室温などを管理し、データ収集します。蓄積されたデータを分析し、快適な空間を作り上げることが可能です。

その他にも、タイヤメーカーや複合機のメーカーが、それぞれの顧客向けにさまざまな付随サービスを提供しています。

サービタイゼーションでは、顧客が求めるサービスを提供する必要があります。しかし、製造業では、情報を分析し、顧客のニーズを的確に読み取る人材が不足していることが課題です。サービタイゼーションを採用するには、社内体制を見直す必要があります。

なぜサービタイゼーションが製造業で採用され始めている?

製造業で採用され始めているサービタイゼーションですが、そこにはどのような背景があるのでしょうか。

  • 従来のビジネスモデルでは競争力の維持が難しいため
  • 顧客のニーズが多様化しているため
  • 技術が進歩しているため
  • 製品を使いこなすのが難しいケースが増えているため

以上の4つの観点から解説します。

従来のビジネスモデルでは競争力の維持が難しいため

サービタイゼーションが採用されるようになった背景に、製品のコモディティ化が挙げられます。コモディティ化とは、今まで市場価値の高かった商品・サービスが市場の活性化により、一般的な商品になってしまうことです。

その結果、従来の製品を売って利益を得る「売り切りモデル」のままでは、市場競争が激化している中で勝ち残り続けるのは困難になってしまいました。

日本製品の品質の高さは世界で評価されていますが、他国では、製造技術などの進化によって、高品質で安価な生産が可能になっています。

製品の品質にこだわるだけでは競合他社との差別化が難しくなり、サービタイゼーションが注目されるようになりました。

顧客のニーズが多様化しているため

「モノ」よりも「コト」を重視する消費者が増加していることも、サービタイゼーションが注目されている理由です。

これまでは製品を所有することに価値を見出している消費者が大半でした。しかし、現在はインターネットなどを介して製品を容易に購入できます。ゆえに、製品を所有することではなく、製品の利用を通して得られる体験・満足度に価値を見出すようになりました。

このように、ユーザーが製品の利用を通して得られる体験を「CX(カスタマーエクスペリエンス)」と呼びます。

これからはCXを向上させることが、競合他社との差別化を図るために重要です。

技術が進歩しているため

サービタイゼーションが採用されるようになった背景に、AI・loT・ICTなど最新テクノロジーの急速な進化があります。最新テクノロジーの進化でインダストリー4.0が推進されるようになり、企業が顧客をより手厚くサポートする手段ができました。

インダストリー4.0とは、製造業にデジタル技術を取り入れる取り組みです。

元々サービタイゼーションの考え方自体は多くの企業が提唱していたのですが、メンテナンスにかかるコストが懸念されていました。

しかし、インダストリー4.0が反映されている製造現場「スマートファクトリー」が実現したことで、メンテナンス方法に変化が起こります。

たとえばloTにより、センサーを通して機器の状況を示すデータを取得できるようになり、遠隔監視が可能となりました。加えて、「5G」など通信技術が発達し、速やかに機器のデータが取得できるようになったことで、機器の状態にあわせた早急なメンテナンスが可能になったのです。その結果、従来と比較して、メンテナンス方法が大きく変化し、問題が発生した時にだけ保守作業を行うようになりました。

メンテナンスによって発生する膨大なコストの課題が、スマートファクトリーによって解決し、サービタイゼーションが製造業にも採用され始めました。

 

製品を使いこなすのが難しいケースが増えているため

最新技術により高機能は製品が続々と登場していますが、それに伴い、使用方法が複雑化しています。顧客が製品を使いこなせないケースが多発し、利用方法やメンテナンスのサポートが必要になったのが、サービタイゼーションが採用されるようになった背景です。

販売だけでなく、購入後のサポートまで一緒に提供することで、製品の長期利用や顧客のロイヤリティ向上が期待できます。その結果、安定した収益が見込めるのがメリットです。

サービタイゼーションの事例3選

サービタイゼーションが何か理解できても、製造業において実際どのように取り入れられているのか、なかなかイメージが湧きません。

以下より、サービタイゼーションの成功事例を3つ紹介します。

事例を参考に、自社でサービタイゼーションを取り入れる際にはどのようなサービスを提供できるのか検討してみてください。

トヨタ自動車

大手自動車メーカーであるトヨタ自動車では「トヨタ・コネクティッドサービス」を提供しています。

自動車とインターネットをつなげて、さまざまな車内情報を一元管理したり、必要な情報を受け取ったりできるサービスです。

購入後の車環境を快適にし、安全・安心して運転ができるようなサポートを提供しています。

以下より、トヨタ・コネクティッドサービスの具体例を2つ紹介します。

デジタルキー

デジタルキーは、自身のスマートフォンが車の鍵の代わりになるサービスです。

専用のアプリを使用すれば、遠方にいる家族や友人にデジタルキーをシェアできます。

荷物が多く両手がふさがっていても、同乗者にデジタルキーをシェアしておけば、荷物をおろして鍵をあける手間がかかりません。

シェアする際には、期間や操作範囲の指定が可能です。一時的に友人に車を貸す場合には期間を設定してシェアし、運転免許のない人には、安全のため、ドアのロック・アンロックのみの操作が可能な状態でシェアするなど、用途にあわせて使用できます。

車内Wi-Fi

車内Wi-Fiは、車がWi-Fiのホットスポットになるサービスです。容量無制限で使用できるため、音楽や動画もデータ通信量を気にすることなく楽しめます。

長時間のドライブで子どもが飽きてしまっても、タブレットで動画配信を楽しめます。また、仕事で急遽パソコン作業が必要になった時やスマートフォンでお店の情報を検索したい場合などに便利です。

上記の他にも、スマートフォンから遠隔で車の操作ができるシステムや事故が起きた際にオペレーターが警察を手配してくれるヘルプネットなど、数多くのサービスを提供しています。

参考:「T-Connect」(トヨタ自動車)

Apple

Appleは、自社製品のパソコンやスマートフォンなどを購入した顧客に向けて、月額制の音楽配信サービス「Apple Music」を提供し、商品に付加価値をつけています。

Apple Musicは、インターネットを介して、定額で好きな音楽が聴き放題という便利なサービスです。リアルタイムで歌詞が表示されたり、ダウンロードすればオフラインで音楽が聞けたりするなど、さまざまな機能が搭載されています。

Apple Musicは、Apple製のデバイスを購入した顧客であれば、購入後6ヵ月無料で使用可能です。

他にも、Apple Storeで提供されているアプリを購入したデバイスにダウンロードすれば、自分が使いやすいデバイスにカスタマイズできます。

参考:Apple Music(Apple)

Canon

カメラやプリンターで有名なCanonでは「オフィス向け複合機 保守サービス」を提供しています。

「オフィス向け複合機 保守サービス」とは、プリンター・コピー・スキャナーなどの機能が備わったオフィス向けの複合機を、故障しないようにキープするためのアフターサービスです。

キヤノンマーケティングジャパンによって認定されたカスタマーエンジニアが会社へ直接点検しに来てくれます。

保守サービスには2種類あり、メンテナンスギャランティであれば、カスタマーエンジニアの技術料だけでなく、トナーや消耗部品の代金まで含んでサポートしてくれる点が魅力です。

点検や部品交換などの機械調整を定期的に行うことで、修理費用を安く抑えられたり、トナーをその都度購入する必要がないなど、顧客にとって多くのメリットがあります。

参考:保守サービス(Canon)

サービタイゼーションを取り入れて利益の拡大を目指そう

サービタイゼーションとは、製品を販売するだけでなく、付随するサービスまで提供する新しいビジネスモデルです。

サービタイゼーションを採用することで、顧客と良好な関係を構築でき、長く自社の製品を使用してもらえます。その結果、販売後も利益を得られるのが、従来のビジネスモデルとの違いです。

サービタイゼーションは、従来のビジネスモデルの競争化、顧客のニーズの変化などにより、製造業でも採用され始めています。

ぜひ自社への取り込みを検討してみてください。

この記事を書いた人

Nikken→Tsunagu編集部

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