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人事・労務ナレッジ - 法律・制度

ものづくり補助金とは~2021年概要:公募要領・採択・コロナ特別枠【中小企業サポートまとめ】

ものづくり補助金とは~2021年概要:公募要領・採択・コロナ特別枠【中小企業サポートまとめ】
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ものづくり補助金は、経営革新を目的とした設備投資費用などを対象とした中小企業向けの補助金です。補助金の申請・審査を経て、採択されると交付を受けることができます。

この記事では、ものづくり補助金の対象となる企業の条件や事業類型などの概要、公募要領、申請の方法などについて解説していきます。

この記事でわかること
  • ものづくり補助金の対象となる企業の条件や事業類型などの概要
  • 公募要領、具体的な申請方法

ものづくり補助金の公募は締め切りごとに公表されているため、これから申請を検討している方はまず、募集・申請期間から第何次の公募が当てはまるのか確認しましょう。

なお、2021年8月現在は7次応募の受付期間となっています。

  • 7次公募開始:2021年5月13日
  • 7次締切:2021年8月17日

参考:全国中小企業団体中央会

目次

    ものづくり補助金とは

    ものづくり補助金とは

    ものづくり補助金とは、中小企業庁独立行政法人中小企業基盤整備機構が、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助事業として実施する『ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金』の略称です。

    中小企業による新商品や新サービスの開発、あるいは新たな生産方式や提供方式の導入といった、経営革新のための設備投資などを対象として交付される補助金です。

    ここでは、ものづくり補助金について、補助金として交付される額や補助金の対象、審査、コロナウイルス対応のための特別枠など、概要を解説していきます。

    最大で1億円の補助金を交付

    参考資料:中小企業庁

    ものづくり補助金には3つの事業類型があり、事業類型によって補助金の額が異なります。交付される補助金の額は、一般型は100万円~1,000万円、グローバル展開型は1,000万円~3,000万円、ビジネスモデル構築型は100万円~1億円となっています。

    3つの事業類型についての詳細はこちらをご確認ください。

    補助金の対象となる経費は設備投資費用

    ものづくり補助金の対象となるのは設備投資費用であり、対象となる経費は一般型とグローバル型の場合、以下のように決められています。

    ものづくり補助金が対象となる設備投資の例

    一般型もグローバル展開型も、機械装置・システム構築費は1点50万円(税抜き)以上の設備投資が必須です。そのほかの経費は、一般型は500万円(税抜き)、グローバル展開型は1,000万円が補助上限額と決められています。

    また、中古品流通事業者3社以上から型式や年式が記載された見積もりを取得すると、中古品も対象に含まれます。一方で設置場所の整備工事や基礎工事に関する費用など、対象外のものもある点に注意が必要です。さらに、技術導入費と知的財産権等関連経費は補助対象経費の1/3まで、専門家経費と外注費は補助対象経費の1/2までという規定もあります。

    一般型の新型コロナウイルス対応特別枠の場合、通常枠の項目に加えて、広告宣伝・販売促進費が補助対象経費の1/3まで認められます。また、業種別ガイドラインに基づいた感染拡大予防のための取り組みを行う場合、感染防止対策費が事業再開枠として最大50万円別枠で上乗せされます。

    グローバル展開型は一般型の通常枠の項目のほか、海外経費が補助対象経費の1/5まで認められます。

    ものづくり補助金の審査

    ものづくり補助金の審査項目は、大まかに技術面と事業化面、政策面の3項目に分類されます。また、成長性加点と政策加点、災害等加点、賃上げ等加点等の4つの加点項目が設けられています。

    審査のポイント

    • 技術面:事業の革新性
    • 事業化面:事業計画の妥当性と市場が抱えている課題への効果
    • 政策面:国の政策と一致していること

    新型コロナウイルス対応特別枠

    ものづくり補助金の一般型には、新型コロナウイルス対応に対する補助率を引き上げた特別枠が創設されています。特別枠の申請には一定の要件が設けられていますが、通常枠での申請と比較してさまざまなメリットがあります。

    特別枠の申請の要件

    新型コロナウイルスの対応の特別枠では、A類型~C類型の3つの類型のいずれかに該当する投資に補助対象経費の6分の1以上を充てることが求められます。

    特別枠で申請するメリット

    特別枠で申請を行うと4つのメリットがあります。

    1つ目は補助率の引き上げです。補助率は、通常枠の場合は中小企業者で1/2、小規模企業者・小規模事業者で2/3ですが、特別枠ではA類型は2/3、B・C類型で3/4に上がります。

    2つ目は、仮に特別枠で不採択になった場合でも、優先的に通常枠で採択されることです。

    3つ目は申請要件の緩和です。申請にあたって必要な事業計画の策定において、賃上げと付加価値額増加の目標の達成年限が1年猶予され、広告宣伝・販売促進費も補助対象となります。

    4つ目は事業再開枠として、感染防止対策費が最大で50万円上乗せされる点です。

    こうしたメリットがあることから、特別枠での申請の要件を満たす場合には、特別枠で申請した方が有利となります。

    ものづくり補助金の仕組み

    握手をするビジネスマン

    ものづくり補助金の仕組みについて、対象となる企業やテーマ、事業類型など知っておくべき概要を解説していきます。

    ものづくり補助金の対象企業の条件

    ものづくり補助金の一般型とグローバル展開型は中小企業・小規模事業者などが対象とされ、業種は問われません。会社や組合、特定非営利活動法人(NPO法人)のほか、個人事業主も該当します。

    ただし個人事業主の採択率は低く、革新性のある技術力のアピールや事業の実施体制の構築、財務基盤の整備などの面で不利になることが、その理由として挙げられます。

    続いて、ものづくり補助金の対象となる企業の条件を説明していきます。

    すでに創業していること

    ものづくり補助金の対象となるには、すでに創業していることが条件となり、これから創業予定という段階では申請することができません。企業などの法人であれば設立登記を行っていること、個人事業主の場合には税務署に開業届を提出していることが条件になります。

    申請にあたっては、「創業・設立日」や法人の場合には「法人番号」の記入が必要です。

    【業種別】資本金・従業員数

    ものづくり補助金の対象となる中小企業・小規模事業者は、業種に応じた資本金や従業員数の規模が定められています。

    資本金と従業員数のいずれかが業種ごとの基準以下であれば、ものづくり補助金の対象となります。なお、従業員数は、役員や個人事業主以外の常勤の従業員の人数です。たとえば、小売業で資本金が6,000万円であっても、従業員数が50人以下であれば対象に含まれます。

    賃金引き上げ計画の表明

    ものづくり補助金を申請するには、付加価値額・賃金引き上げ要件を満たす3~5年の事業計画を策定して、従業員に表明していることも条件です。この条件には3つの要件があります。

    1つ目は付加価値額の年率平均3%以上の増加です。付加価値額は、営業利益と人件費、減価償却費を足したものをいいます。

    2つ目は給与支給総額の年率平均1.5%以上の増加です。給与支給総額には給料や賞与などの賃金、残業手当や家族手当、住宅手当などの各種手当、役員報酬などが含まれますが、福利厚生費や法定福利費、退職金といった給与所得に含まれないものは除きます。また、算定の対象となるのは、非常勤を含む全従業員と全役員です。

    3つ目は、事業場内最低賃金を「地域別最低賃金+30円以上」の水準にすることです。
    このうち、2つ目と3つ目の賃金引き上げについては、指定された様式の「賃金引き上げ計画の表明書」を作成し、従業員代表者などが押印を行うことが必要になります。

    • 7次公募からの変更点
      事業場内最低賃金を確認するために、賃金台帳の提出が義務付けられました。

    ものづくり補助金の対象となるテーマ

    産業用ロボット

    ものづくり補助金の対象には、新商品や新サービスの開発、新たな生産方式や提供方式の導入といった、経営革新や生産性の向上をテーマにした取り組みのための設備投資が該当します。

    経営革新

    経営革新とは、市場の中で優位性を持つため、新事業活動によって経営の相当程度の向上を図ることを指します。

    新事業活動

    • 新商品の開発や生産
    • 新サービスの開発や提供
    • 商品の新たな生産方式や提供方式の導入
    • サービスの新たな提供方式の導入 など

    また、経営の相当程度の向上とは、付加価値額や経営利益が一定程度以上向上することをいいます。

    生産性向上

    生産性とは、投入した経営資源に対する、生み出された成果の効率の程度です。つまり生産性の向上とは、これまでよりも投入する経営資源の量を減らして同等以上の成果を生むこと、あるいは投入する経営資源は同じでも、多くの成果を生み出せるようにする取り組みを指しています。

    ものづくり補助金の事業類型

    ものづくり補助金の3つの事業類型、「一般型」「グローバル展開型」「ビジネスモデル構築型」について、本稿で詳しく解説していきます。

    一般型とグローバル展開型は中小企業・小規模事業者を対象としたものです。一方、ビジネスモデル構築型は30者以上の中小企業に対して、革新的な事業計画実行のための設備投資を支援するプログラムを補助する法人が対象になります。

    一般型やグローバル展開型は、中小企業の個社を「点」で支援することを目的としているのに対して、ビジネスモデル構築型は複数の中小企業を「面」で支援するという違いがあります。

    一般型

    ものづくり補助金の一般型は、中小企業・小規模事業者などが革新的サービスや試作品の開発、あるいは生産プロセスの改善を行うための設備投資などに対する補助金です。

    ここでいう革新性とは、業界や商圏で一般的ではない取り組みを指します。たとえば、「最新フライス盤の導入による鋳物の単品加工・小ロット加工の効率の向上」や「オンライン用プログラミング教材の導入による非対面型授業の提供」といった事例が採択されています。

    グローバル展開型

    ものづくり補助金のグローバル展開型は、中小企業・小規模事業者などが海外事業の拡大や強化を目的として行う、革新的サービスや試作品の開発、あるいは生産プロセスの改善の設備投資などに対する補助金です。なお、海外事業には海外拠点での活動も含まれます。

    グローバル展開型には4つの類型が設けられています。

    • 1類型:海外直接投資
      国内の本社と海外支店、または海外子会社に投資を行うことで、グローバルな製品やサービスの開発・提供体制を構築して、国内拠点の生産性を高めることが目的となります。すでに支店や子会社といった海外拠点を持つ企業が対象となります。
    • 2類型:海外市場開拓型
      国内拠点での海外向け製品の開発などによって、海外の市場の開拓を目的とするものです。
    • 3類型:インバウンド市場開拓型
      訪日外国人客に対する市場の開拓です。東京オリンピックによるインバウンド需要の獲得を目指す場合などが該当します。
    • 4類型:海外事業者との共同事業型
      外国法人との共同研究や共同事業開発のための設備投資が該当します。

    ビジネスモデル構築型

    ビジネスモデル構築型は、30社以上の中小企業に対して、革新性や拡張性、持続性を持つビジネスモデル構築や事業計画策定のための支援プログラムの開発・提供を行うことを目的とした補助金です。

    プログラムの実施主体となる法人は、情報システムの構築や設備の共同使用、ワークショップの開催といった自立可能な支援プログラムを提供します。たとえば、中小企業のバックオフィス業務におけるDX推進の支援事業や、3Dプリンタやロボットの導入によるビジネスモデル転換の支援事業などが想定されています。

    ものづくり補助金の金額

    参考資料:中小企業庁
    https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/2019/191226yosan02.pdf

    ものづくり補助金の補助金額は、一般型は100万円~1,000万円、グローバル展開型は1,000万円~3,000万円です。いずれも企業規模によって補助対象経費に対する補助率が異なり、中小企業は1/2、小規模企業・小規模事業者は2/3です。

    ビジネスモデル構築型の補助金額は100万円~1億円で、補助率は10/10で定額となっています。

    中小企業と小規模企業・小規模事業者の違い

    中小企業と小規模企業・小規模事業者の違いは、常勤従業員数の違いによるものです。製造業その他業種・宿泊業・娯楽業は20人以下、卸売業・小売業・サービス業は5人以下の会社、および個人事業主が小規模企業・小規模事業者に該当します。

    みなし大企業は対象外

    一般型とグローバル展開型は業種ごとに決められた規模の中小企業・小規模事業者などが対象になります。ただし、企業規模としては中小企業であっても、発行済み株式の1/2を同一の大企業が所有しているケースなど、親会社である大企業の傘下にある企業は、みなし大企業として対象外となります。

    申請すれば必ずもらえるものではない

    ものづくり補助金は審査によって採択・不採択が決定され、必ずしも受け取れるとは限りません。ものづくり補助金の採択率は4割程度とされており、難易度の高い補助金です。

    2021年:7次実施中】ものづくり補助金の公募要領と審査

    ものづくり補助金の公募要領による応募や審査、採択などのスケジュールや審査のポイント、審査項目について説明していきます。

    公募要領と審査・採択スケジュール

    公募スケジュール

    画像参照元:ものづくり補助金総合サイト

    2020~2021年度のものづくり補助金の一般型とグローバル展開型の公募スケジュールは、1次~7次までの締切回が設けられています。

    ものづくり補助金公募スケジュール

    各回の応募締切の後、約1ヶ月間の審査期間を経て採択発表となり、採択された事業者は交付申請を行い約1ヶ月後に交付決定が下ります。補助事業の実施期間は一般型の場合は交付決定から最大で10ヶ月間ですが、採択発表日から12ヶ月後が終了期限となっている点に注意が必要です。

    2021年8月現在は7次応募の受付期間となっています。

    • 7次公募開始:2021年5月13日
    • 7次締切:2021年8月17日

    詳しくはものづくり補助事業公式ホームページ公募要領をご確認ください。

    7次応募からの変更点

    7次応募分より、いくつかの点に変更が見られます。

    不適格要件(補助対象企業に該当しない条件)に追加事項が加わりました
    ・事業の実施にあたり、実質的に労働を伴わない事業
    ・資産運用的性格の強い事業
    ・購入した設備を自社事業に使用せず、特定の第三者に長期間賃貸させるような事業
    ・政治団体あるいは宗教上の組織および団体による事業

    事業場内の最低賃金確認のため、賃金台帳の提出が必要になりました

    認定経営確認等支援機関や専門家等の外部支援を受けた場合、支援者の情報記載がなければ無効となります
    ※支援者の情報記載項目
    ・名称
    ・報酬
    ・契約期間

    「経営革新計画」「事業継続力強化計画」の承認取得にまつわる加点要件が変更になりました
    ・成長性加点:「有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者」
    ・災害等加点:「有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者」

     

    ものづくり補助金の採択率

    2020〜2021年度のものづくり補助金「一般型」の採択率を見ていきましょう。

    ものづくり補助金の採択率

    5次および6次締切回ではやや持ち直しているものの、3次締切回以降では採択率に顕著な下落傾向が見られます。今後の申請では、設備投資やシステム開発の明確な理由、より完成度の高い事業計画書が求められると捉え、周到な準備、対策を講じましょう。

    ものづくり補助金の審査のポイント

    データを読んでいるビジネスマン

    ものづくり補助金は公募要領による要件を満たしていても採択されるとは限りません。

    13次の応募者数は3,261、採択者が1903であることから一般型の採択率は58.4%と、およそ6割程度となります。

    審査は技術面事業化面政策面の3つの観点から行われます。また、ものづくり補助金の申請に当たって提出する事業計画では

    • 付加価値の年率平均3%以上の増加
    • 給与支給総額の年率平均1.5%以上の増加
    • 事業場内最低賃金の地域別最低賃金+30円以上の水準にすること

    の3点を盛り込むことが義務付けられています。こうした事業計画の要件が実現可能であるか、適格性も審査のポイントとなっています。

    「革新的」事業と認められる技術力

    技術面では、下記の項目が審査されます。

    • 取り組み内容の革新性
    • 課題や目標の明確さ
    • 課題の解決方法の優位性
    • 技術的能力

    このうち、重要とされるのは革新性です。

    公募要領にはどの程度革新的な技術を求められるのか、具体的には記載されていませんが、実際のところでは、特許を取得するレベルでの新規性は求められていないようです。

    事業者にとって新たな取り組みであるとともに、業界や商圏で一般的でなければ革新的と認められると、審査項目や採択事例から推測されています。

    事業化・プランニングの効果と妥当性

    事業化面では、人材や財務状況など事業の実施体制や事業化のスケジュールの妥当性のほか、市場のニーズ、費用対効果などが問われます。

    市場のニーズでは、相応の市場規模があり、課題解決につながるなど一定のニーズが見込めることが必要です。費用対効果では、価格や性能に優位性があり、収益性が見込めることがポイントになります。

    働き方改革・災害対策など国策とのマッチング

    政策面では、地域経済への波及効果やニッチ分野でのトップとなる潜在性、環境配慮性の3点で国の政策との一致が求められます。特別枠では新型コロナウイルス対応の有効性も問われます。

    働き方改革や多様な人材の活用、災害時の対策など、国が重要とする政策に関連する取り組みを行っている企業は評価される傾向が見られます。

    審査項目

    ものづくり補助金の一般型とグローバル展開型の審査では、4つの加点項目があります。

    • 成長性加点
    • 政策加点
    • 災害等加点
    • 賃上げ加点等

    一方で、過去3年以内に類似する補助金の交付決定を受けていた場合には、減点の対象になります。

    加点項目

    ものづくり補助金の一般型とグローバル展開型の審査で、加点となるのは以下に該当するケースです。最大で7項目の加点を受けることができます。

    ❉ 成長性加点
    成長性加点の対象となるのは、有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者と取得予定の事業者です。経営革新計画は、中小企業等経営強化法に基づく中期的な経営計画書で、都道府県知事の承認が必要です。ものづくり補助金では経営計画の策定が必要なため、経営革新計画の申請も合わせて行うことが推奨されています。

    ❉ 政策加点
    政策加点の対象になるのは、小規模事業者と創業・第二創業から5年以内の事業者です。規模が大きい中小企業以外も、ものづくり補助金が利用しやすいように配慮されています。

    ❉ 災害等加点
    災害等加点は主に新型コロナウイルスの影響や台風による被害をうけた事業者が、ものづくり補助金を活用することで、事業を立て直して発展させていくために行われる加点です。

    災害加点は3つの項目があります。

    • 新型コロナウイルスの対応の特別枠の申請者は、特別枠で不採択となり、通常枠での再審査となるケースで加点される
    • 2020年5月15日~7月31日の豪雨による激甚災害の被災事業者
    • 有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者や取得予定の事業者

    ❉ 賃上げ加点等
    賃上げ加点等は2項目があり、1つ目は要件を上回る基準の賃上げです。基準には、「事業計画期間の給与支給総額の年率平均2%以上の増加と、事業場内最低賃金の地域別最低賃金+60円以上の水準」、あるいは「事業計画期間の給与支給総額の年率平均3%以上の増加と、事業場内最低賃金の地域別最低賃金+90円以上の水準」の2つが設けられています。

    2つ目は被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立って、任意適用に取り組むケースです。

    減点項目

    過去3年間に類似する補助金の交付決定を受けたことがあると、交付決定の回数に応じて減点の対象になります。

    なお、2020〜2021年度の場合には下記が該当します。

    • 平成28年度補正革新的ものづくり・商業・サービス開発支援事業
    • 平成29年度補正ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業
    • 平成30年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業

    審査員

    ものづくり補助金の公募要領には、審査員は外部有識者と記載があるのみです。審査を行う外部有識者は税理士や中小企業診断士が中心で、経済産業省や中小企業庁の職員ではなく、委託を受けて行っているとされています。

    ものづくり補助金の申請方法

    タブレットをタッチしているビジネスマン

    ものづくり補助金の申請は電子申請になります。Webフォームに入力して事業計画書などの必要書類をPDFで添付するのが基本的な流れです。

    電子申請の流れ

    ものづくり補助金は以下の流れで申請を行います。

    1. GビズIDサイトで「GビズIDプライム」を取得する。
    2. 「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の電子申請システムにログインする。
    3. 申請内容を入力して、提出書類を添付する。
    4. 申請内容を送信する。

    主な入力項目

    ものづくり補助金の電子申請システムで主な入力項目は以下です。

    • 応募者の概要1…
      企業の詳細情報、(グローバル展開型の場合は)1類型~4類型の選択
    • 応募者の概要2…
      経営状況として株主や役員、売上高、経常利益、当期利益
    • 事業内容…
      (一般型は)特別枠の選択、事業計画名や概要、事業分野、事業計画、要件に適合する付加価値額・給与支払い総額・事業場内最低賃金目標
    • 実績説明…
      (補助金または委託費の交付を受けた実績がある場合)
    • 経費明細表…
      経費明細表、資金調達内訳
    • その他加点項目…
      (該当する場合)
    • 労働者名簿…
      (小規模企業・小規模事業者として申請する場合)

    申請に必要な主な添付資料

    打ち合わせをしているビジネスマン

    ものづくり補助金の電子申請にあたっては以下の書類を添付資料として提出します。

    <必須のもの>

    • 賃金引上げ計画の表明書…所定の書式を用いて作成し、従業員代表者や経理担当者、事業場内最低賃金で働く従業員の押印が必要。また、事業場内最低賃金の確認のため、7次締切回より賃金台帳の提出も必要となりました。
    • 事業の具体的な取り組み内容・将来の展望・会社全体の事業内容の算出根拠…事業計画書として作成。
    • 決算書…設立2年以上は2期分、2年以上に満たない場合は1期分の決算書。設立間もない場合は事業計画書と収支予算書。

    <加点要件に合う場合>

    • 経営革新計画の承認通知書・承認申請書…経営革新計画の承認取得、または申請中の場合。
    • 履歴事項全部証明書・開業届…創業期・第二創業期に該当する場合。
    • 自然災害による被害状況等証明書…2020年の台風による被害を受けた場合。
    • 事業継続力強化計画の承認通知書・承認申請書…業継続力強化計画の承認取得、または申請中の場合。
    • 特定適用事業所該当通知書…年金事務所から特定適用事業所該当通知書を受けている場合。

    ものづくり補助金申請の注意点

    資料を書き込んでいるビジネスマン

    ものづくり補助金の申請に関して、事務処理が煩雑である点や事業計画上のリスクを負うことなど、注意点を取り上げていきます。

    事務処理の煩雑化

    ものづくり補助金を利用すると、事務処理が煩雑になることが想定されます。申請に際しても書類の準備が必要ですが、採択された後も交付申請を行うための手続きが必要になり、書類の山ができる状態になるなど、事務処理能力を求められます。

    また、事業の終了から5年間にわたって報告義務があり、ものづくり補助金による事業で収益が出た場合には、補助金の返納義務があります。そのため、こうした事務処理を行う体制がとれるか、熟慮することが必要です。

    事業計画のリスク

    ものづくり補助金は後払いのため、先行投資を行うことになり、賃上げによって人件費もアップします。今後、新型コロナウイルスの影響などで、事業計画が大きな変更を余儀なくされると、資金繰りが悪化するリスクがあることを踏まえておかなければいけません。

    また、申請にあたっては、自社で対応できる場合にはコンサルタントに依頼しないことも選択肢となります。ただし、膨大な時間を費やすことや採択率が低いことを踏まえると、多くの時間を無駄にするリスクがあります。専門性を有する人材が自社にいない場合には、プロの力を借りることも検討する余地があります。

    まとめ

    ものづくり補助金は経営革新のための設備投資に対して、一般型でも最大で1,000万円の補助金を受け取れる、中小企業を強力にサポートする補助金です。しかし、その採択にあたっては審査があり、補助金事業としての適格性も求められます。

    また、事務処理や資金繰りの面で負担になることも想定されるため、リスクも念頭に置いたうえで申請を検討しましょう。

    なお、2021年8月現在は7次応募の受付期間となっています。

    • 7次公募開始:2021年5月13日
    • 7次締切:2021年8月17日

    3次公募以降は採択率に下落傾向も見られるため、申請の際はより周到な準備を講じてください。

    プロフィール

    ph_spf201203_1pro
    監修:清水 厚史(しみず あつし)

    2003 年株式会社ヒューマンネット・コンサルティング設立。雇用関係助成金(厚生労働省)や新規事業、設備投資を支援する各種補助金(経済 産業省、各都道府県)の情報提供とコンサルティング、申請支援を行う。定年延長の助成金、キャリアアップ助成金、採用関係の助成金、もの づくり補助金など実績多数。有料職業紹介(人材紹介)事業者、経済産業省認定の経営革新等支援機関として様々の業種の会社を経営支援している。

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    この記事を書いた人

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