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半導体業界は新型コロナウイルス感染拡大の影響が比較的軽微で、スマートフォンやパソコン、データセンター向けの需要は引き続き好調、さらに5GやIoTの普及によるデジタル化を受けた市場拡大も見込まれている注目業界です。
そうした半導体の製造に欠かせないのが、半導体製造装置です。
半導体製造装置とは何か、また、半導体製造装置市場の動向やシェアについて解説していきます。
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半導体製造装置(SPE)とは文字通り、半導体デバイスの製造をするための装置のことです。半導体はマイクロメートルやナノメートルといったレベルでの精度を要求されることから、手作業による製造は難しく、製造装置が用いられています。
半導体製造装置は大きくわけて、半導体設計用装置やマスク製造用装置、ウェハ製造用装置、ウェハプロセス用処理装置、組立用装置、検査用装置、半導体製造装置用関連装置に分類できます。
半導体の製造工程は、下記の流れとなっています。
半導体の配線は非常に細かいため、コンピュータで回路を描いたフォトマスクをウェハ表面に転写して、回路を形成する方法をとっています。
前工程はウェハプロセスとも呼ばれ、ウェハ上に電子回路を製作する工程です。
ここまでのパターン転写~平坦化までの工程を繰り返すことで、ウェハ上に設計通りの回路を形成していきます。
後工程は前工程でウェハ上に製作されたチップを切り出して、パッケージ化した後、最終検査を行う工程です。
今後も市場規模の拡大が見込まれている半導体製造装置。現在、国内メーカーのシェアは3割程度ですが、製造工程によっては9割を超える製造装置のシェアを有し、日本企業が強い分野です。
2020年、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を大きく受けた業種もある中、半導体製造装置市場への影響は軽微でした。なかでもウェハファブ製造装置市場は好調で、2020年の市場規模は過去最高額を更新することが見込まれています。
日本半導体製造装置協会のデータによると、半導体製造装置市場の日本国内メーカーのシェアは、2008年は40%を超えていましたが、以降は下落に転じました。しかし、2013年以降は30%前後を維持するなど、堅調な状況です。
半導体製造装置市場では、日本国内メーカーは前工程のコータ・デベロッパやウェハプローバ、後工程のダイサで高いシェアを持っています。
コータ・デベロッパのうち、コータはフォレストレジスタを塗布する装置、デベロッパは露光した部分のフォトレジストを溶かす装置です。日本国内メーカーの東京エレクトロンが90%近いシェアを持っています。ウェハプローバは電気的検査のための装置で、東京エレクトロンと東京精密がシェアを分け合う形です。
ウェハをチップ状に切り出すダイシングに関連する装置は日本国内メーカーが強い分野で、ダイサではディスコが80%のシェアを持っています。また、完成後の検査に用いられるテイスティング装置のひとつのメモリテスタでは、アドバンステストのシェアが60%となっています。
参考:公益社団法人日本経済研究センター「研究報告」
5Gの普及により、IoTやAIを活用したデジタル化がますます加速していくことや、脱炭素社会へのメガトレンドによる電気自動車の急激な需要増から、半導体の需要は今後も拡大していくことが見込まれています。これによって半導体製造装置市場も大きく成長することが推測されます。
中国で半導体や半導体製造装置の内製化を推進していることが脅威とはなるものの、半導体は高度な先端技術が必要とされる分野です。参入障壁が高く、中国が追いつくには時間がかかると考えられるため、国内メーカーは技術競争を勝ち抜き、30%のシェアを引き続き維持することが見込まれています。
半導体製造装置は、種類によっては国内メーカーが圧倒的なシェアを確保しています。また、世界の半導体製造装置市場において、国内メーカーは今後も一定のシェアを維持できることが見込まれています。
半導体製造装置は、モノづくり大国日本の高度な技術力を活かせる分野として今後も期待されるでしょう。
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